拠点拡張、人員2倍…NTTが米で基礎研究強化
NTTは米国で量子コンピューティングなど次世代技術の基礎研究体制を強化する。米シリコンバレーにある研究法人、NTTリサーチの本社研究施設を2020年夏をめどに移転し、敷地面積を現状比6割増やす。NTTリサーチは19年4月の設立以降、複数の欧米の有力大学と共同研究契約を結んでおり、研究員も50人と現状比で倍増させる。提携する大学や企業との共同研究スペースも設置し、国際的な研究者ネットワークを拡充する。
現本社は米シリコンバレー内のパロアルトにあるが近隣のサニーベールに移転し、敷地面積を約4200平方メートルに増やす。共同研究スペースのほか、研究員のプライベートオフィスも設置する。
NTTリサーチは傘下に量子計算、暗号情報理論、生体情報処理を担当する計三つの研究所を持つ。このうち暗号情報理論研究所が米カリフォルニア大学バークレー校のサイモンズ研究所と3年間提携した
。サイモンズ研究所は計算機科学理論に強みを持ち、多数の優秀な若手科学者が在籍している。NTTリサーチは同研究所の博士研究員をフェローに任命するほか、同研究所内に専用デスクを用意する予定。今後、データ暗号化などで共同ワークショップ(研究集会)の開催や共同技術論文などにつなげる。
このほか、生体情報処理研究所は独ミュンヘン工科大学と共同で、ナノサイズの医療用埋め込み型電子機器を開発する。量子計算科学研究所も米航空宇宙局(NASA)や米スタンフォード大学などと光通信を応用した量子コンピューティングの開発を目指すなど、各研究所長の人脈を生かして優秀な研究機関・大学と相次ぎ提携している。
NTTリサーチは今後5年で約250億円を投じる計画。米ボストンやイスラエルでも拠点を新設することで、基礎研究の分野で世界最先端の研究者ネットワークを構築する。