NTT、医療用埋め込み電子機器開発に乗り出す
NTTはドイツのミュンヘン工科大学と共同で、ナノサイズの医療用埋め込み型電子機器の開発に乗り出す。NTTの研究法人、NTTリサーチ(米カリフォルニア州)傘下の生体情報処理研究所(MEI)とミュンヘン工科大が共同研究契約を結ぶ。生体内の生体信号を長期間、高精度に取得でき、異物反応や拒絶反応などを生じない電極を開発する。20年にミュンヘン市内に共同研究用の拠点を新設、研究員を派遣する。
MEIは循環器内科の臨床研究で知られる友池仁暢氏が所長を務める。ミュンヘン工科大はバイオエレクトロニクスの微細加工や印刷技術に強みを持つ。高精度な体内埋め込み型センサーから得た生体情報を基に病気の予防や、AIによる生体情報解析などに役立てる。
4月に設立したNTTリサーチは傘下にMEIのほか、量子計算、暗号情報理論を担当する計三つの研究所を持つ。光通信を応用した量子コンピューティングの開発も米航空宇宙局(NASA)や米スタンフォード大学などと行うなど、各研究所長の人脈を活用した国内外の優秀な研究機関との連携を進めている。今後5年で約250億円を研究開発に投じる計画。米ボストンやイスラエルでも拠点を新設し、基礎研究の分野で世界最先端の研究者ネットワークを構築する。
国内通信大手の間では、ソフトバンクが東京大学と20年に人工知能(AI)の基礎研究を行う研究所を開設するなど、次世代技術の基礎研究を相次ぎ強化する。
日刊工業新聞2019年12月10日