日立化成を子会社化、昭和電工社長の「ワクワク感しかない」展望
昭和電工の森川宏平社長(写真)は、日刊工業新聞社の取材に応え、日立化成の完全子会社化によって「ライフサイエンスを伸ばしたい」と展望を語った。自動車と情報電子分野での競争力の強化が主要テーマではあるが、ライフサイエンスは景気低迷時も安定した市場がある。「将来、収益と安定性を高レベルで維持できる『個性派事業』になり得る」と期待する。
日立化成との成長戦略の協議は株式取得後に始まり、今はライフサイエンスの位置付けも未定。ただ、「ライフサイエンスは当社に欠けていた分野。やりたくて、過去に何度も挑戦した」と、強い思い入れを語る。日立化成の子会社化を完了すれば、同分野で成長する入り口に立てる。
日立化成は、同分野で診断薬・装置や再生医療向けサービスなどを展開。昭和電工にも「現在は別の研究をしているが、バイオの研究者は多くいる」。また多様な素材技術も応用できそうだ。
昭和電工と日立化成は、自動車や情報電子産業向け製品に強く、一定規模の市場でトップシェアの事業群を目指す点が同じ。昭和電工はこれを『個性派事業』と位置付け、営業利益率10%以上を成果指標としている。今後、両社は各事業を「個性派事業を目指せるかどうか」という視点で1―2年かけて精査し、事業を再編する。戦略の推進によって、「結果として全社で営業利益率12―13%は可能だ」とみる。「今は両社で目指す所へ進む“ワクワク感”しかない」と意気込む。
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日刊工業新聞2019年12月26日