洋服の着脱をしてくれるロボット、九州工大がAIでスムーズに
九州工業大学大学院の柴田智広教授らは、病院や介護施設向けの「着衣介助ロボット」を改良した。衣服を着せたり、脱がせたりしている最中に人が動いてしまった場合の対応動作などを人工知能(AI)に覚え込ませ、再度同じケースがあった場合でもロボットの判断で的確な動作ができる。さらに衣服の寸法や特徴なども記憶させ、着脱をスムーズにしたほか、電動車いすとセットにすることで床面のレールをなくした。今後も操作性改良に力を注ぐ。
着衣介助は排せつ介助と並んで、ヘルパーの負担が重い作業。介護施設の高齢者は一人ひとり容体が異なるほか、服を着せている最中に動いてしまうことが多い。服の種類も前開きのタイプか、頭を通すタイプかなど違いがあり、サイズの大小もある。ロボットが衣服を持って高齢者に着せる場合も、ロボハンドでつかむ場所を間違えるとうまく着せられなかったり、頭を通せなかったり、上下が逆だったりする問題が生じる。
これらの事例を、学習データベースとして記憶。一人ひとりの違いや衣服の違いに、対応できるようにする。ロボットは双腕式で可搬重量は2・3キログラム、協働タイプであるため、作業中にぶつかっても、人を傷つける心配がない。
人の突然の動きに対応できるカメラの配置が課題だが、柴田教授は「大型施設や病院のように着替え室を固定化できる場所では、カメラを天井に設置するなどで対応できる」としている。改良を重ねて早期の実用化を目指す。
日刊工業新聞2019年12月25日