スポーツの魅力倍増させる「力センサー」の威力

連載・湧き上がるスポーツデータ#02

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長期間のセンシングが可能になったグローセルの歪みセンサー

センサーメーカーもスポーツに狙いを定める。選手の動きやモーション(動作)が手軽に測れるようになり、次は力やインパクトの計測に焦点が当たる。動きと力が正確に計れると逆動力学が解ける。産業用途で生産量を確保し安価な供給を目指す。

ロボセンサー技研(浜松市北区)は、圧電ワイヤセンサーを売り込む。圧電樹脂を金属線に巻き、樹脂が変形して発生した信号を計測する。ワイヤの直径は0・5ミリメートルで、柔らかくユニホームに直接縫い付けられる。靴下に仕込めば足裏の力分布を計れる。陸上選手の足が地面を捉える接地時間は約0・2秒。大村昌良社長は「0・2秒を10分割して力変化を計測する。軽いため選手への影響がほとんどない」と胸を張る。

ゴルフや野球の手袋に仕込めば、インパクトの瞬間に5本指のどの指でグリップしているか計れる。小指と人さし指は10センチメートルも離れていないが、打点の精密さが求められる競技では重要な要素だ。本庄義治最高技術責任者は「選手の意識や感覚と実際の値がずれていることもある。計測できれば明らかになる」と説明する。

自覚のないずれはイップス(精神面などによるプレーの不調)の原因になるため、ストレスなく身に付けられ常時モニターできるセンサーが求められていた。

グローセルは半導体センサー「STREAL(ストリアル)」を提案する。ストリアルは抵抗ブリッジの変位量で歪みを測る。消費電力を従来のひずみセンサーの約1000分の1に抑え、長期間のセンシングが可能になった。

「従来のセンサーはアンプで信号を増幅していた。アンプ不要で1チップに収めた」(右田光伸課長)。スパイクの裏金やゴルフクラブのシャフトなど、硬い金属のわずかな変形をとらえる。地面やボールをとらえ、力が逃げていないか計れると期待される。

コンタクトスポーツではコンタクトの瞬間のインパクトが重要な指標になる。アメリカンフットボールのブロックやラグビーのスクラムなどでは、ほとんど動きのないところから激しい衝突や押し合いが繰り広げられる。動きだけでは推定が難しかった。

力センサーは身体や芝が変形するため、剛体同士の衝突のような正しい値は取れない。それでも試合中の推移を追跡すれば、選手のパフォーマンスを計れる。そして放送に用いればコンタクトスポーツではその激しさを、ゴルフなどではその精密さや繊細さを伝える指標になる。力センサーの進化はスポーツの魅力を倍増させる。

日刊工業新聞2019年12月24日

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COMMENT

小寺貴之
編集局中小企業部
記者

モーションの次は力やトルクと考えるのが定法ですが、みな苦労してきました。「まともに測れているセンサーはない。見せ方を工夫しているだけ」という声もあります。力センサーで絶対値はとれなくても、ゲーム中のパフォーマンスや推移をみれます。科学的な追究よりも、データにスポーツの解釈を載せる段階だと思います。ゲーム分析やコンテンツ開発の視点でみるといかがでしょうか。ラグビーなら南アフリカの巨人たちに無慈悲にもみくちゃにされる過程を測り、エアバッグスーツとHMDで体験すると、恐ろしさがわかって面白いと思います。

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