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空調設備大手が健康産業へ一手「低酸素空調」の納入先

空調設備大手が健康産業へ一手「低酸素空調」の納入先

低酸素空調システムを納入したアシックスの施設

新菱冷熱工業(東京都新宿区、加賀美猛社長、03・3357・2151)は、拡大が見込まれる健康産業への取り組みを強化している。アシックスが運営する低酸素環境下トレーニング施設(同江東区)向けに、低酸素空調システムを開発し、納入した。今後、他のトレーニング施設などに同システムの採用を働きかけていく。

今回開発した低酸素空調システムは、通常の空気に100%の窒素ガスを加えて所定の酸素濃度(12―17%)に制御し、密閉状態の室内に供給する。プールやランニングレーン、トレーニングルームなどで標高2000―4000メートルの高地と同等の低酸素環境をつくるために用いられる。

窒素ガス方式の制御性や室内の酸素濃度分布、低酸素環境の安定性などの確認試験を行った。またプールからの塩素ガスが窒素濃度計の耐久性に及ぼす影響の確認試験も行い、安定した環境制御を実現した。

アシックスの施設では低酸素環境下でスポーツのパフォーマンスを上げるためのトレーニングができる。低酸素環境での運動は短時間で効率的なトレーニングの成果を発揮でき、アスリートの関節や筋肉への負担も軽減する。トップアスリートから一般まで幅広い層の利用を想定する。

国民の健康寿命延伸に向けた取り組みが活発化する中、新菱冷熱も疾病の予防に焦点を当てた健康産業に注目する。中でも今回納入した施設のようなスポーツジムの需要は高まると予測。まず同システムをジムを対象に拡販し、今後の他分野への展開も検討する。

日刊工業新聞2019年12月23日

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