工場から始まる「ローカル5G」どんな仕組み?
総務省は、次世代通信規格「第5世代通信(5G)」を工場内など地域限定で利用する「ローカル5G」の導入に関する指針を策定した。28・2ギガ―28・3ギガヘルツ(ギガは10億)の100メガヘルツ幅(メガは100万)を先行して24日に制度化し、申請受け付けを始める。年内に20社程度が申請する見込み。審査に約1カ月半かかることから、2020年2月には国内でローカル5Gが始動する。(取材=編集委員・水嶋真人)
ローカル5Gは、携帯電話事業者による全国向け5Gサービスとは別に、地域の企業や自治体が自らの建物や敷地内で柔軟に5G網を構築し、5Gを利用可能にする仕組み。
指針では当面の間、自己の建物内や土地内での利用を基本とするが、建物や土地所有者から依頼を受けた地域企業などが免許を取得し、システム構築できるとした。ただ、NTTドコモやKDDIなど携帯電話事業者によるローカル5G免許の取得は不可。携帯事業者でないNTT東日本とNTT西日本に対しては、携帯事業者との連携による実質的な移動通信サービスを提供しないことを条件に参入を認める。
NTT東西以外のローカル5G事業者には、携帯事業者の全国通信網との接続を認める。その際に携帯事業会社が自社提供端末のみ接続を認めるといった差別的な条件を付けることを禁止した。電波利用料は基地局1局当たり年2600円、端末は同370円。4・5ギガヘルツ帯など、その他の帯域では20年11―12月の制度化を予定する。
今回、先行して制度化した28・2ギガ―28・3ギガヘルツは、4・5ギガヘルツ帯よりも電波の直進性が高く減衰しやすい。遮蔽(しゃへい)物があると電波が届きにくく、基地局1局当たりのカバーエリアが狭くなる。このため、工場内の生産ラインの高精細映像を同一工場内の検品部門にリアルタイム伝送するといった「高速大容量化が必要な一方、伝送距離が短い用途が見込める」(総合通信基盤局移動通信課)としている。