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陸・海・空でおさらい、インフラ点検や災害現場で活躍するロボット

災害現場やインフラ点検など、人の作業が困難(もしくは不可能)な場所で活躍するロボットは、遠隔操作性や飛行性など他のロボットにはない特徴を有しています。陸海空という三つの切り口で紹介します。

陸上で活躍するロボットの特徴

大和ハウス工業の遠隔操作ロボット「moogle(モーグル)」は、住宅の床下や配管が入り組んだ空間などを走り回り撮影します。同じような作業は人でもできますが、「より狭いところにも入っていける」「ほこりや粉塵を気にせず長時間作業できる」といったロボットならではのメリットがあります。こういった点検ロボットは、より高性能なカメラなどを使うことで、人の目視では見過ごしてしまうような小さな劣化の兆候などを発見できます。

moogle(モーグル)

自然災害や大規模な事故が発生したとき、人が立ち入れない現場で調査や復旧作業を行うロボットを「災害対応ロボット」といいます。災害対応ロボットには地形を把握し、データ化するための地質計測機器や、現場の土砂を採取するためのマニピュレータ(人で言う手や腕辺りの部位)が搭載されていることが特徴です。

水中で活躍するロボットの特徴

海洋研究開発機構の深海巡航探査機「うらしま」は、自律型の深海探査ロボットで、内蔵のコンピュータにより、あらかじめ設定されたシナリオに沿って自分の位置を計算しながら移動します。

うらしま

もっと身近なものもあります。愛知工業大学などは、水や泥の中で運用できる点検ロボットを開発しました。水に漬かった状態で30分以上稼動できます。人が入れない排水溝や下水管などを点検できます。

泥水対応の排水溝点検ロボ

NTTドコモと東京大学は、次世代通信規格(5G)と水中ドローンを活用して漁場を遠隔監視する実証実験に成功しました。スマートフォンで海中の漁場の様子をリアルタイム観測でき、カキなど養殖物の成育状況を確認する作業を効率化できるのではないかと期待されています。

空で活躍するロボットの特徴(ドローン)

家電量販店で数千円出せば購入できるドローンは、橋梁やダムなどのインフラの点検、農薬や肥料の散布、災害現場の調査や救援物資の輸送など、様々な分野で実用化が進んでいます。2020年には、瀬戸内ドローン推進協議会(広島県)はドローンで空撮した映像を募集し、映画館の大画面で上映する「第1回瀬戸内ドローン映像祭」が予定されているように、表現の分野でも活用が広まっています。 宅配便や食事のデリバリーなどより身近なシーンへの活用も期待されていますが、安全性の確保や法整備が待たれます。


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【参考文献】
トコトンやさしい人工知能の本」辻井潤一監修、日刊工業新聞社、2016年
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