指先で細やかな感触を体験、NOKの触覚再現グローブが面白い!
NOKとグループ会社の日本メクトロン(東京都港区)が、触覚技術の開発を進めている。振動や電気刺激、温冷感といった触覚を指先サイズで再現する「3原触モジュール」を活用し、開発した「3原触グローブ」を提案する。3原触技術はVR(仮想現実)や自動車向けの新たな部品などとしての改良も進めており、18日に開幕する「国際ロボット展」などでアピールしつつ、研究開発を急ぐ。
3原触モジュールは人間が力や振動、温度の三つの物理刺激に主に反応することから、ヒーターや振動子などの組み合わせによってさまざまな触感の表現が可能になる部品として開発した。3原触グローブは、3原触モジュールを組み込んだ二つのグローブを活用し、グローブの指先で細やかな感触が体感できるようにした。
3原触グローブの実現には、日本メクトロンのスマートフォンや自動車向けに使われるフレキシブルプリント基板(FPC)を活用した。FPCは伸縮性の高さが特徴だ。触覚的な刺激を伝える部品として使うほか、駆動回路への接続にも活用する。FPCの柔軟性を生かし、3原触グローブの小型化や配線の耐久性にもつなげた。
3原触モジュールの実用化時期は未定だが、グローブに限らずさまざまな需要に対応できるとみている。同グローブはVRで視覚に続く触覚への需要を期待する。モノづくりの現場では「匠(たくみ)の技」も映像と触覚を組み合わせて伝えることで円滑な技術伝承にもつながる。
将来、車体全体がディスプレー化される次世代車での需要も想定する。例えば、3原触モジュールをディスプレーに組み込んで、ディスプレー上に表示されたエアコンの温度を下げるパネルをタッチすると、触れた部分が冷たく感じるなど意匠性の向上につなげられる。
3原触グローブは17年の「国際ロボット展」にも出展したが、今回、3原触モジュールでペルチェ素子とヒーターの組み合わせで温冷感の細かな違いを表現するなど繊細な触覚への改良を施した。同グローブも2本指から3本指に増やした。
まず10―11月に開催した「第46回東京モーターショー」に出展。日本メクトロン東京支店の吉原秀和マーケティング部主事補は「延べ約1500人が体験し、30分待ちの行列もできた」と反響の大きさを実感する。
実用化にはより汎用的な温冷感などの実現や製品を量産できるメーカーとの連携もカギを握る。吉原氏は「モジュールを電気も熱も通す特殊なゴムと組み合わせれば耐久性も高まる」と親会社のNOKのゴム技術との連携にも期待する。
3原触グローブは18―21日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催する「国際ロボット展」にも出展する。ロボットの遠隔操作などでの利用も想定し、来場客の“感触”も探る。