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週37時間以下、日本が学ぶべきデンマークの幸福な働き方

「Hygge(ヒュッゲ)」合い言葉に
週37時間以下、日本が学ぶべきデンマークの幸福な働き方

デンマークの大手建設コンサルティング会社RAMBOLLのオフィス

 

今年の世界幸福度ランキングは1位フィンランド、2位デンマーク、3位ノルウェーと北欧諸国が並ぶ。OECDの労働生産性でも上位に位置する。日本の58位とは大きな差だ。その差は何か。

 

まず労働時間が短い。週の労働時間はフィンランドでは約40時間、労働組合の強いデンマークは約37時間、実際はさらに短いとも言われる。また人材の流動性が高く転職は一般的だが、失業手当が手厚い。税金が高い一方で医療費、出産費、大学院までの学費補助も厚く、金銭的な心配をせずに自分が学びたいこと、働きたいことに向き合える。一般的にワーカーの裁量は大きく、組織もフラットだ。仕事に対する対価は労働時間ではなく成果やアイデアが重要視され、能動的に働く姿勢が見られる。効率的に短時間で成果を出す働き方を個々が考える。その結果プライベートも充実し、さらに創造性や知識、意欲の向上につながる。

 

デンマークには「Hygge(ヒュッゲ)」という言葉がある。日本語で近い表現は見当たらないが「リラックスした日常や自然に触れる時間を意識して創り、そこに幸せを見いだすという生活の知恵のようなもの」だ。長く厳しい冬を過ごす北欧では、自然の中で芽生える息吹や暖かな日差し、人の優しさや気の置けない人と過ごす時間を大切にしている。プライベートを大切にする文化がしっかりと根付き、ワークライフバランスがとれた高い幸福度につながっているのではないかと思う。

 

オフィスのデザインもクリエーティブだ。中央にある吹き抜けを執務スペースが囲み、中心部の内部階段によって空間が接続されている。ウェルビーイング(身体的、精神的、社会的健全な状態)に対する企業の意識も高い。自然光が入る大きな窓の近くに昇降式のデスクが配置され、集中ブースや居心地のよいカフェテリアなど多くの機能と十分なスペースがある。オープンなオフィスでは、多様なコラボレーションが随所で行われ、生産性の高い働き方の実現につながっている。

 

真面目で勤勉、シャイな人が多いと言われる北欧圏の人柄は日本人にも似ている。日本の幸福度を向上させる大きなヒントがあるように思う。


(文=大川貴史<三井デザインテック 企画・マーケティング室長>)
日刊工業新聞2019年11月29日

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