産学連携は組織でなく個人の関係が大事!?

「関西ネットワークシステム」で光るネットワークの歴史

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産学官連携に関わる個人のコミュニティー構築を目的とした「関西ネットワークシステム」(KNS)の活動イベントが1000回に達した。17年間の節目となったのは、東京大学で開かれた首都圏初の“地方大会”だ。都市型大学の組織型連携策と一線を画す、地域重視の個人ネットワークの歴史が光っている。

KNSの会員は産学官連携の支援などに関わる約220人だ。組織名は伏せ気味に“さん付け”で呼び合い、代表を置かずに複数の世話人で運営する。世話人の一人で、普段は大阪産業局のクリエイティブ産業推進部部長として産学連携に関わる堂野智史さんは「重要なのは背負った看板ではなく、深いコミュニケーションが可能な個人のフラットな関係だ」と強調する。

なぜなら「外部の組織・人とつながるオープンイノベーションでは、よく知らない相手と組む不安が生じる。しかし先にコミュニティーがあれば相手を信用できる」(世話人の吉田雅彦さん)からだ。弱い関係がいくつもある中から思わぬ有用情報が見つかり、連携プロジェクトの企画につながるのだという。

年4回の定例会に、井戸端会議など多様な形があるが、真面目な会合の後はKNSだけに「必ず・飲んで・騒ぐ」が鉄則。草の根ネットワークは1000回の飲み会によって、しぶとく強くなってきたといえそうだ。

日刊工業新聞2019年11月28日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

KNSは10年ほど前に知り、関心を持っていたが今回、東京初開催とあって参加がかなった。産学連携は官民挙げて「組織対組織の連携」がトレンドだが、この集まりは「基本は個人」と異なるスタンスを持つ。かつて私が取材を土台にした博士研究で「産学連携コミュニケーション」という勝手な分野を打ち立て、「トラブルは体面や建前など、組織が前面に出るとこじれる。が、コミュニケーションの基本である人対人なら、きっと! よい方策が見つかる」と主張してきたことと重なる。「うちの産学連携ときたら、まったく…」と不満を持つ大学人、企業人のあなた。この集まりを活用して、今の仕事も自身の将来キャリアも前進させられるのでは?

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