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中小企業の受動喫煙被害、もっと知って

2020年4月、受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が全面施行になる。事業者は屋内の共用部を禁煙とするか、換気設備を整えた喫煙室を設置しなければならない。違反には罰金も科される。大企業では分煙や完全禁煙が進んでいるが、中小企業では経営者が喫煙者の場合、対応が後れやすい。

産業医科大学の大和浩教授の試算によれば、喫煙は喫煙室との往復も含め1回約7分を要し、就業時間内に5回喫煙すると年間で約31万円の人件費ロスが発生する。「喫煙者の離席で電話対応などの負担増を含めると影響はもっと大きい」と話す。

建設業のアップコン(川崎市高津区)は禁煙達成などに加点するポイント制を採用。社員がポイント数に応じてカタログギフトがもらえるなど、楽しみながら健康活動に取り組んだ結果、喫煙者は4年前の14人から現在は1人になった。

成功の秘訣(ひけつ)はへこたれずにやり抜く根気強さにある。組織が小さい中小企業ではトップが健康経営を理解し、率先垂範することが重要だ。

30の医科歯科系学会が参加する禁煙推進学術ネットワークは毎月22日を「禁煙の日」に定め社会に禁煙を促す啓発運動を行っている。改正法施行に備え、中小企業にも覚悟が求められる。

日刊工業新聞2019年11月22日

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