中小従業員の資産形成、野村証券が重視する理由

NISA・年金運用提案

従業員持株会の拡大を後押し(都内で開いた持株会事務局向けセミナー)

野村証券が企業の従業員の資産形成支援を拡大している。給与からの天引きによる「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」の導入を進めるとともに、従業員自らが運用する年金制度を提案する。企業にとっても福利厚生の充実に金融サービスの活用が必要だ。職場での投資喚起が投資の裾野を広げることにつながりそうだ。

「中堅企業を中心に開拓できている」―。景山英俊経営役は職場でのつみたてNISAの導入に手応えを感じている。1年前ほどから企業の従業員に、つみたてNISAが徐々に浸透してきた。給与天引きのため資産形成を計画的に進められ、運用益が非課税なのもメリットだ。毎月の積立金に対して、奨励金を支給する企業も出てきている。

野村が中堅企業を重視するのは、経営者による迅速な意思決定が背景にある。「オーナーの決断で奨励金が付きやすい」(景山経営役)という。しかも、職場につみたてNISAを先行して展開したのが野村だ。担当者が企業を訪問して説明会を開くなど、地道な活動の積み重ねが実を結びつつある。

一方、企業規模が小さいほど福利厚生の充実は難しく、退職金制度が十分に整っていないことに悩む経営者も少なくないという。そのため従業員に資産形成への関心を持たせるきっかけを与える機会を増やすことが必要。従業員が会社制度を利用しながら自ら運用する年金制度(企業型確定拠出年金)などを野村が提案するのも、老後への備えとしてニーズが見込めるからだ。

また野村は長年、上場企業の従業員持株会を受託してきた。従業員が給与天引きで自社株を定期的に購入する制度で、企業にとっても安定株主の確保につながる。持株会の展開をベースに従業員の資産形成を後押ししてきたのに加え、つみたてNISAや同年金などで投資需要を幅広く取り込む。従業員との接点を増やすことに着目した野村の活動は、貯蓄から投資への意識変化を加速させそうだ。

日刊工業新聞2019年11月14日

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