揺れの体感を半減させるAI、大林組など開発

リアルタイム制御にも成功

写真はイメージ
 Laboro.AI(ラボロエーアイ、東京都中央区、椎橋徹夫最高経営責任者〈CEO〉、03・6280・6564)は、大林組と連携し、人工知能(AI)を利用した振動制御手法を開発した。実験では人の揺れに対する体感を示す「居住性能」において従来手法と比べ、揺れの体感を約半分にした。今回の手法を含む制御系AIは、幅広い業界への技術転用が期待される。同社は今後、さまざまな企業と連携し、AIの産業応用を進める。

 制振技術の一つとして建築物の揺れを制御するため、建物内部に「マスダンパー」が設置される。今回の実験は振動をセンサーで感知し、反復する動きをマスダンパーで能動的に建物の揺れを抑える「アクティブ制振(AMD)」を活用。深層強化学習を利用したAIでマスダンパーの動きを制御する。

 ラボロエーアイのエンジニアが約2万回のシミュレーションを実施。その後、その結果を大林組技術研究所(東京都清瀬市)内にある橋の制御システムに転用し、実際に人が歩いた時の振動を比較した。

 実験では、居住性能を示す値が従来のAMDによる最適制御と比べて、深層強化学習によるAIモデルの場合で約半分を示した。また同実験でAIが対象物の反応に合わせて、自ら最適な動きを学習する「リアルタイム制御」にも成功した。

 振動制御は、公共交通機関内の快適性向上や、製造機器の不良品の低減などの技術転用が期待される。またリアルタイム制御は製造ロボットやプラントなどへの展開が見込める。

 同社は今後、こうした国内産業の本業へのAI活用に注力。まずは大きな効果が期待できるグローバルニッチトップ企業へ普及し、イノベーション創出を目指す。

日刊工業新聞2019年11月1日

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