大林組がダム情報化技術を集約、現場の課題解消なるか
日刊工業新聞2019年10月4日
大林組は3日、ダム建設の施工技術とデジタル技術を融合した情報化施工技術を「ODICT(オーディクト)」に集約し、自社が施工するダム工事に活用すると発表した。施工内容に応じて生産性や安全性の向上、品質管理の高度化が可能な各種技術を選び適用する。
施工数が少ないため技能伝承が難しく、人手不足が懸念されるダム建設の課題解消にもつなげる。
第1弾として水資源機構が発注した川上ダム本体建設工事(三重県伊賀市)に利用する。人工知能(AI)を用いた基礎岩盤の健全性判定をはじめ、タワークレーンによるコンクリート運搬の自動化、コンクリート締め固め判定の自動化など新規開発を含め20以上の技術を順次適用する。
オーディクトは大林組がダム建設で長年蓄積した施工技術、情報通信技術(ICT)やAIを融合した各種情報化施工技術の総称。
「5G」も活用
日刊工業新聞2018年12月17日
KDDIと大林組、NECの3社は、第5世代通信(5G)を活用して建設機械2台を遠隔操作する実証実験(写真)に成功した。建機2台に搭載した計8台のカメラで撮影した映像を5Gで約750メートル離れた操作室へ伝送。操作者2人は映像を見ながら建機を操作し、土砂をすくって運び下ろす一連の作業工程を行った。災害時は作業者の安全を確保しながら早期のインフラ復旧が必要となる。5Gで搭乗操作と同等の操作性を確保し、作業効率を上げる。
3社は2月、5Gを活用して建機1台を遠隔操作する実証実験に成功。今回はより伝送データ量が多い建機2台を遠隔操作した。
実証は大阪府茨木市で建設中の「安威川ダム」の一部施行エリアで実施した。建機は土砂をすくうバックホーと、土砂を積んで運ぶクローラーダンプを用いた。各建機の前方に高精細な2Kカメラを3台、360度撮影可能な全天球カメラ1台を設置。計8台の映像と音声を5Gでリアルタイムに伝送した。
音声のみで建機を遠隔操作することにも成功した。建機1台を操作しながらもう1台は音声操作できるため、建設現場の人手不足対策につながる。