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強風でも飛べるドローン、揺れの角度3分の1程度に

強風でも飛べるドローン、揺れの角度3分の1程度に

CMGを搭載したドローン

 早稲田大学理工学術院総合研究所の大内茂人研究院客員教授や明治大学、東海大学の研究グループは、強風などの揺れでも姿勢を保てる飛行ロボット(ドローン)を開発した。国際宇宙ステーション(ISS)にも使われている姿勢制御装置「コントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)」を搭載。飛行時のドローンを人工的に揺らしたところ、CMGを付けない時に比べ、揺れの角度を3分の1程度に減らせた。宅配用ドローンや空飛ぶ自動車などへの応用が期待される。

 CMGは回転する円盤の力を利用し搭載した機体の姿勢を制御する装置で、ISSの姿勢制御や船の揺れ止めなどに使われている。CMGをドローンに搭載した事例は初めてという。

 2・4キログラムのドローンに搭載するCMGは1キログラム。CMGを搭載することで、ドローンのプロペラで対応できない細かい姿勢制御を行い、5ヘルツの揺れにまで対応できる。ドローンのみの場合、1ヘルツの揺れには対応できるが、それ以上の揺れには対応できなかった。研究グループはドローンとCMGの運動に関する複数のパラメーターを同時制御するプログラムを開発し、安定的な飛行を実現した。

 開発費は約500万円。ドローンは飛行方向に対し、ピッチング(前後)、ローリング(左右)、ヨーイング(回転)に関する運動を同時制御する必要がある。今回はピッチング角の揺れにのみ対応しているが、2020年3月末までにローリング角を加えた2軸方向で制御できるドローンを開発する。振動するモーターをドローンに取り付け、CMGで揺れを相殺する実験を実施したい考え。

 大内研究院客員教授は「ドローンのみでは毎秒15メートルの風での飛行が限界とされている。それ以上の風速の中での飛行を実現したい」と実用化に向けた取り組みを進める。
日刊工業新聞2019年10月31日

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