太古の火星の水質復元、生命誕生に適していたと分かる

金沢大・東工大など、火星探査車「キュリオシティ」の試料分析

火星探査車「キュリオシティ」(NASA提供)
 金沢大学の福士圭介准教授や東京工業大学の関根康人教授らは、太古の火星に存在した水の水質を復元し、生命の誕生や生存に適した水であることを明らかにした。米航空宇宙局(NASA)の火星探査車「キュリオシティ」が採取した試料の分析から、かつての火星の水は塩分やミネラルなどを豊富に含んでいたことが分かった。開発した水質の復元法は2020年に地球に帰還する小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰る試料の分析にも使える。

 火星赤道付近にあり、かつて巨大な湖が存在した「ゲール・クレーター」に着目。クレーターの鉱物の中に含まれ、かつての水環境を反映している粘土鉱物「スメクタイト」を分析し、火星の水に含まれるイオンの組成を割り出した。火星の水には地球の海水の3分の1程度の塩分と、カリウムイオンやマグネシウムイオンなどを含み、水素イオン濃度(pH)が中性で、生命の生存に適したものであったことが分かった。

 さらにゲール・クレーターの湖は約100万年かけ、川の水が湖に流れ込み水分だけが蒸発することで湖に塩分が濃縮される仕組みになっていることも明らかになった。物質の濃縮が起きる場は生命の誕生に必要とされている。

これまでの欧米の探査で火星表面に流水地形や水に由来する鉱物が確認され、約40億―35億年前の火星に液体の水があったとされている。だが生命の存在に関わる水の塩分やpHなどは知られていなかった。

 米ハーバード大学や物質・材料研究機構との共同研究。成果は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に掲載された。

日刊工業新聞2019年10月28日(科学技術)

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