高等教育無償化、大学院生にあおり!?

RA経費削減か

 政府が始める高等教育無償化の新制度で、大学院生があおりを受ける可能性が出てきた。新制度の支援対象は学部生で低所得層の家庭の学生に手厚くなる一方、これまで得ていた奨学金が得られなくなる中間層の家庭の学生の問題がある。国立大学協会は現在の中間層家庭の支援継続で合意しており、その結果「優秀な大学院生に手厚くしていたリサーチアシスタント(RA)経費など削ることになる」(永田恭介会長=筑波大学学長)と見られている。

 2020年度施行の「大学等における修学の支援に関する法律」は大学院生は対象外で、学部生の中で支援の差が強くなる。制度変更で支援がなくなってしまう学生が1万人超といわれている。支援は通常、入学時の判定で決まり、卒業まで続く。国大協のメディア向け懇談会で永田会長は「各大学とも本年度、支援を受けている学部生に『来年度は支援がない』とはいえない」と国大協の支援継続の方針を説明した。

 それには各大学の自由が利く、企業から獲得した外部資金などを活用した大学院生のRA経費などが回される見込みだ。これらは家庭の経済状況に基づく奨学金とは別に、優秀な層の学業後押しをするものだ。大学院生は研究集中のためアルバイトを抑えるニーズも強く、この変化に注目が集まりそうだ。

日刊工業新聞2019年10月24日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

「大学」と言った時に「大学院」が含まれているのかどうか。これは各種の施策や支援で注意すべきポイントの一つだ。今回の新制度はまさにそう。大学の学部生が対象の支援であり、大学院生は対象外だ。「そうなんだ、大学院生にとっては残念だね」というだけかと思っていたら、別の方角から逆風が吹いてくることが判明した。各種の奨学金に加えて日本学術振興会の特別研究員、リサーチアシスタントやティーチングアシスタントなど、学生支援の制度は様々だ。多様な財源を活用して、なんとか広く手厚く支援しようという結果だが、その中で「こんな影響が出てくるのか…」と顧みることとなるメディア懇談会だった。

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