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安全を守る、もう一つの「新幹線」車両導入へ

JR東が線路設備モニタリング用
 JR東日本は新幹線における線路設備モニタリングの実用化に向けて新型保守用車「SMART―i(スマートアイ)=写真」を完成させた。レール締結装置や、分岐器の歪みなど、これまで装置による検測や目視によって把握してきた線路状態の検査を機械化し、検査精度向上や作業員の労力軽減を狙う。2021年3月まで、自社の新幹線区間でデータの取得や検証といった各種試験を行い、実用化を検討していく。

 スマートアイには2種類の検査装置を搭載する。レール締結装置を撮影して画像解析を行う「軌道材料モニタリング装置」は川崎重工業、加速度計とレーザーセンサーで測定する「分岐器・軌道変位検査装置」は伊DMAに、それぞれ研究開発を委託。専用車両は松山重車輌工業(新潟市北区)で製作した。

 現在、新幹線の線路状態確認は、月3回検査専用車「East―i(イーストアイ)」での走行検査と年1回の軌道材料の劣化状態検査、4日に1回徒歩や列車による線路総合巡視を実施している。

 イーストアイは営業時間内に高速走行で軌道の歪みなどを測定するのに対して、スマートアイは保守間合いに時速数十キロメートル程度で走行する。イーストアイで見ることの難しかったデータなど、状態基準保全(CBM)に効果的なデータを効率良く取得。新幹線の安全・安定運行を支えるとともに、最適なタイミングでのメンテナンス実現につなげる。
日刊工業新聞2019年10月8日

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