デジタルサイネージ時代、プロジェクター高付加価値品ぞくぞく

 精密機器メーカーが、商業向けプロジェクターに力を入れている。今後、市場は年平均成長率5%の成長が見込めるとされ、相次いで独自性を持たせた新製品を投入。商業施設や美術館などで空間の演出やデザイン関連の仕事を円滑に進めるツールとして売り込んでいる。(石宮由紀子、大阪・日下宗大、国広伽奈子)

正面以外からも


 富士フイルムは、商業向けプロジェクター市場の高まりに呼応し2月に同市場に参入した。レンズの向きを多方向に切り替えられる超単焦点プロジェクター「フジフイルムプロジェクターZ5000」を発売。「屈曲型二軸回転機構レンズ」をプロジェクターに世界で初めて採用し、「正面以外からも映像を投写できる」(飯田年久光学・電子映像事業部長)。これまでプロジェクターを置けなかった場所でも使用できるように設計し、プロジェクターの潜在的な需要を掘り起こしていく。同プロジェクターの発売以降、商業施設や博物館の空間演出、コンサートの舞台演出などで引き合いが強いという。

 パナソニックは2万ルーメン以上という超高輝度プロジェクターでは、世界シェア(金額ベース)はトップの4割強を占める。12月には、世界最高輝度となる5万ルーメンのプロジェクター「PT―RQ50KJ」を発売する。「エンターテインメントの現場で市場創造に寄与してきた」(松原洋二郎メディアエンターテインメント事業部マーケティングセンター所長)とする同社の自信作だ。年間販売目標は国内50台、海外450台を掲げる。4Kコンテンツの投写が可能。観客が臨場感と没入感を体験できるように同社従来品と比べ特に赤色を豊かに投写できる。

電子看板向け


 プロジェクター国内最大手のセイコーエプソンは9月、高輝度モデルとインタラクティブ機能搭載モデル、サイネージモデルの3種に分類したビジネスプロジェクター計8機種11モデルを発売した。サイネージモデルは3800ルーメンの明るさで、ショールームや店舗など販売促進用途での採用を見込む。

 キヤノンは9月、4K対応の「4K6021Z」を発売した。デザインの資料やCAD図面など鮮やかな色や明るさが求められる分野での利用を想定する。カメラで培った技術を生かし、レンズを付け替えられる。

 プロジェクターは従来はオフィスでの一般的な業務での用途が主流だったが、市場は成熟化。より高付加価値の領域に今後も注目が集まりそうだ。

日刊工業新聞2019年10月8日

  

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