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宇宙ビジネス目指すロボベンチャーの技術力

エスイーフォー、遠隔操作技術の開発を加速
宇宙ビジネス目指すロボベンチャーの技術力

火星でのロボ活用(イメージ)

 SE4(エスイーフォー)は、宇宙でのビジネス展開を目的にするロボットベンチャー。設立して1年だが、米国のコンピューター学会が主催するコンピューターグラフィックス(CG)の展示会「シーグラフ」でロボット技術のデモンストレーションを行うなど遠隔操作技術の開発を加速させている。ウィルソン・ロクラン最高経営責任者(CEO)は「さまざまな会社と宇宙産業革命を起こしたい」と意気込む。

 同社はロボットの自動化と遠隔操作における遅延などの課題を解決するロボット用ソフトウエアを開発する。現在は、例えばロボットが穴を掘る場合、アームの角度や動作速度などをプログラミングすることが不可欠。また、月面など地球との間に宇宙空間をまたぐ遠距離利用の場合は、操作の遅延が発生する。操作自体も一つのロボットに対して1人の人間が行う「1対1の制御」が一般的だ。

 SE4では、作業現場に到着したロボットが周辺情報をカメラやセンサーでスキャニング。取得したデータは制御する人間に送信し、現場を再現した仮想現実(VR)を作成。人間はVRからロボットに作業を指示する。

 ロボットと人間の共通言語に取り組む点も特徴。プログラミングではなく「掘る」や「下ろす」「動く」などを伝えることで人工知能(AI)がその動作を行うように開発中。「マイクロソフトがパソコンを一般人でも使えるようにした。我々はロボットを誰もが使えるようにする」と強調する。

 宇宙分野を開拓する前に、建設業界へ向け提供する。土木作業などを行うショベルカーの遠隔操作や自動化だ。社内でも12分の1スケールのショベルカーを作成し、実証を重ねる。プログラミングや制御が難しい組み立て工程での双腕型ロボットへの適用も想定する。

 同社にはAIやVR、ロボティクスなどの技術を持つ9ヵ国のエンジニアが集まる。「テレオペレーション(遠隔操作)で人間とロボットの距離を縮めたい」と志を語る。

ウィルソン・ロクランCEO

【企業メモ】▽住所=東京都台東区浅草橋3の20の18▽資本金=約2億2000万円▽売上高=非公表▽従業員=17人▽設立=18年(平30)9月
日刊工業新聞2019年10月2日

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