官民ファンド“新ツートップ” 美しい出口戦略の条件
どうなるシャープ、そしてルネサスの嫁ぎ先。ベンチャー投資にも意欲見せる
勝又幹英社長兼COOインタビュー
―なぜ政府系ファンドの社長を引き受けたのですか。
「もともとサラリーマンの振り出しが日本興業銀行(現みずほ銀行)であり、日本の産業に対して何かしらの貢献がしたいというテーマは一貫していた。また、興銀の先輩・後輩で『日本みらいキャピタル』という日本初の再生ファンドを02年に立ち上げた。独立して退路を断って、自分自身で資金調達から全てやった経験を人生で2度した」
―今後の経営方針は。
「スタートアップ(起業直後企業)投資については日本のエコシステムを考えると、資金の供給、ベンチャーキャピタル(VC)支援、キャピタリストの輩出、企業経営者の供給基地として、当社は必ず成功しなければならない組織だ」
―半導体や液晶に次ぐ業界再編に取り組む考えはありますか。
「当社のミッションに合致していれば今後も見ていく。常にドアはオープンで相談には対応する。ただ、景気がそれなりに上向いており、各社は手元の流動性に困っていない。日本的な経営風土の中で(業績の)良い時にあえてやるということは少ない。一般的に案件が出てきにくい時期にある。そして、業界再編と同等か、それ以上に大事なのがスタートアップへの投資だ」
―志賀俊之会長兼最高経営責任者(CEO)との役割分担は。
「志賀会長は世の中に対する発信源としてのほか、官邸や霞が関との間で”志賀さんならでは“の調整が必要な時に積極的に動いてもらう。私は投資実務のプロであり、投資全般は原則差配する」
―ルネサスの出口戦略は。
「時限性のある官民ファンドなので、役割を考えながら、どこかでイグジットしていかないといけない。ただ、具体的にどうするかは検討中だ。一般論として、半導体産業は世界的に合従連衡の流れであり、ルネサスの成長戦略と我々のミッションに合う話が来れば検討する」
―シャープとの液晶分野などでの交渉入りについて報道が相次いでいますが。
「個別の案件については答えられない。話が来ているかどうかも答えられない」
(文=鈴木岳志)