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マンション管理組合の憂鬱

維持と世帯の高齢化、負担の平準化
 集合住宅にお住まいの方は、似たような経験をお持ちかも知れない。居住するマンションの管理組合の理事を仰せつかった。輪番制であり、自分の所有資産の価値向上のためとはいえ、1年間の任期は気が重い。

 共用部分の日ごろの清掃や設備の保守点検は常駐する管理人が担当。組合の会計やテレビ受像設備・警報設備、給水用部品の更新、大規模修繕計画の作成などは専門的知識が必要なことから管理会社に委託するのが一般的だ。

 管理の主体は住民で組織する組合というのは、あくまで建前。専門家のサポートなしに管理業務は立ちゆかない。管理会社の優劣がスムーズな運営を左右する。

 管理組合の課題は、管理業務だけではなく高齢化だ。「もう年だから」と理事を断る世帯が増えれば増えるほど、一部の若い世代に負担が片寄る。住戸を所有しながら第三者に賃貸しているオーナーも原則、理事は免除。他のマンションの例では、理事にならない世帯に運営賛助金を払ってもらうケースもあるとか。

 インフラ維持と高齢世代の活性化、それに負担の平準化。どこかの選挙公約めいているが、住民の生活基盤であることを考えれば、それも当然か。マンション管理組合に地方自治の課題を見る。

日刊工業新聞2019年9月18日(オピニオン)

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