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「過酷な労働環境」イメージで人材不足の現場、コマツは他社と解決する

「過酷な労働環境」イメージで人材不足の現場、コマツは他社と解決する

コマツは「ランドログ」で現場の課題を解決する

 コマツの研究開発の根底にあるのは、建設機械が利用される鉱山や建設現場が抱える課題を解決することだ。現在、最も喫緊な課題として挙げられるのが人手不足。人口減少だけでなく、過酷な労働環境というイメージが強いため、人材が集まらない。この課題を解決するためにも、他社とのアライアンスの必要性を感じている。その取り組みについて、岩本祐一専務執行役員CTO(最高技術責任者)に聞いた。(編集委員・松沢紗枝)

―研究開発の中でアライアンスが果たす役割とは。

「やはり、中核になる部分や当社だけが必要な部品などは自社で完結させる。だが、計測やICT(情報通信技術)など当社にはない技術は、外部の力を頼らざるを得ない。また、ビジネス環境変化の速度が年々早まるなか迅速に対応するためにもアライアンスは不可欠だ」

―必要な技術をどのように見極めていますか。

「CTO室には、国内外の企業から技術を探す専門家が約10人いる。あとはこれまでアライアンスを組んだことのある企業やベンチャーキャピタルから紹介してもらったり、ハッカソン(技術開発コンテスト)などを開催したりしている」

―アライアンスを進めるうえで重要視することは何ですか。

「対等なパートナーという意識を持つことだ。特にベンチャー企業は、規模の大きい当社に飲み込まれてしまうのではないかと警戒感がある。他社の技術を使うことで、当社もその企業も、販路が増えるなどといったウィンウィンの関係になるのが理想」

―現在、最も力を入れているのは。

「当社のオープンイノベーションを象徴する存在『ランドログ』だ。NTTドコモやSAPジャパン(東京都千代田区)、オプティムと共同出資で設立した。それぞれの企業が通信、SI(システム構築)、AI(人工知能)といったICT分野に強みを持つ。工事現場向けアプリケーション(応用ソフト)を効率的に開発するための支援をしている」

―具体的には。

「ICT基盤を提供する。地形や建機の稼働状況・燃料状況などさまざまなデータを、利活用しやすいように加工した上で一元管理する基盤で、工事現場の業務支援アプリを開発したいと考える企業向けに提供する。アプリ開発の『市場』というイメージだ」

チェックポイント/性能以外に「コト」の改善も


「自動化・無人化」「電動化」「ICTを活用した建設現場業務支援」といった三つの軸で研究・開発を進めている。
現場の課題解決方法を突き詰めると、「自然と、自動化・無人化という方向になってくる」(岩本専務)という。環境負荷軽減やコスト削減のための燃費向上には電動化への対応が欠かせない。さらに、建機の性能以外にも、「コト」の改善も求められており、これらにはICTサービスで応えていく。
日刊工業新聞2019年9月10日

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