消費増税前の駆け込み、新車販売“平常運転”も商用車は…

税制改正「平準化」要因か

 10月1日の消費税率10%への引き上げが迫るが、自動車販売は“平常運転”だ。5%から8%に上がった2014年4月の前回増税時は、前年同月比2ケタ増となる水準で駆け込み需要があったが、今回は微増に留まる。増税と同時に実施される税制改正が、需要を平準化する要因の一つとみられる。一方、商用車販売に限ると駆け込み需要とみられる動きが出ている。

税制改正「平準化」要因か


 日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽協)の調べによると8月の新車販売は前年同月比6・7%増、7月は同4・1%増、6月は同0・7%減。14年4月の前回の増税時は、直近4カ月間平均の前年同月比増減比率は23%増だった。それだけに今回は「駆け込み需要はほとんど出ていない」(自販連の担当者)とみる。車両単価の高い輸入車販売についても「駆け込み需要は販売増の要因にはなっていない」(日本自動車輸入組合の担当者)と説明する。

 ホンダが増税直前に前年同月比15%増程度の販売計画を組むなど、各社は駆け込み需要に備えたが、肩すかしを食った。要因の一つと考えられるのが、自動車関連税制の見直しだ。代表例は毎年支払う自動車税で、排気量に応じ1000―4500円引き下げられる。購入する車両、利用年数によっては増税後に購入した方が、トータルで割安になるケースがあり、需要の平準化を促したとみられる。

 ただ税制改正だけに要因を求めるのは早計。軽自動車税は1万800円で据え置かれるが、「駆け込み需要はみられない」(全軽協の担当者)。8月の軽販売は同11・5%増と伸びたが、前回増税時の直前の数カ月は2割以上増えた。今年8月の増加はホンダの「N―WGN」、ダイハツ工業の「タント」などの「新モデル投入効果とみるのが自然」(同)という。

 駆け込み需要が目立たないのは税制改正に加え、前回と比べ増税幅が小さいこと、10%の引き上げが2回延期されたことなど複数の要因が絡み合った結果とみられる。

商用車は一部大幅増も


 一方、新車販売の2割強を占める商用車では駆け込み需要が少なからず起きているようだ。トラック業界関係者がまとめた国内大手商用車メーカー4社の普通トラック(積載量4トン以上の大型と中型トラック)の販売台数では7月は同13・0%増、8月が同25・2%増。自販連のまとめでも貨物車販売は7月が同16・0%増、8月は同23・4%増と伸びた。

 三菱ふそうトラック・バスは8月の中型トラックで同約2倍と大幅に販売を増やした。同社は「消費増税前の駆け込み需要があった。より長距離を走るニーズに適した6気筒エンジンの中型トラックを有するのは当社だけで、増税前のタイミングで需要を捉えた」と説明する。

 車載式故障診断装置(J―OBDII)の搭載に関する法規制の適用が9月に始まることも販売を後押しした。日野自動車も7、8月の大・中型で販売を大きく伸ばしたが、「J―OBDII規制前の駆け込み需要の影響もあった」と分析する。

 商用車は、消費増税前と新法規制適用前の駆け込み需要が重なり販売を伸ばした格好。ただ16年排出ガス規制に対応するための駆け込み需要で17年の販売が伸びた反動で、18年の7―8月販売は低迷しており、「19年は例年並みに戻った」(いすゞ自動車)との指摘もある。

 消費増税前の駆け込み需要が、販売増にどの程度寄与したのかの判断は、各社によってバラつきがあるのが実態だ。

                    

日刊工業新聞2019年9月6日

  

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