残業規制、中小の「しわ寄せ」対策加速

厚労省・公取委などが連携

 2020年4月から中小企業にも適用される罰則付きの時間外労働の上限規制に向け、厚生労働省および経済産業省・中小企業庁、公正取引委員会は大企業・親会社の「働き方改革」による中小企業への仕事の「しわ寄せ」対策を加速させる。政府は中小への法適用までに「しわ寄せ防止総合対策」を策定する方針で、3者の取り組みに加え国土交通省、総務省など関係省庁全体での監督強化を実施する。

 働き方改革関連法を所管する厚労省は現在、地方の労働局・厚生局を通じ業界団体などへの説明を各地で行っているほか、把握した「しわ寄せ」事案を地方経産局に情報提供。20年度予算概算要求にも関連予算を計上し、継続事業とする。一方、経産省は企業庁職員や地方経産局職員を説明会に派遣。下請中小企業振興法に基づく「振興基準」を説明するなど連携を強めている。

 両省庁は11月に「しわ寄せ防止キャンペーン」を実施する。経営者向けトップセミナーを開くなど、中小に仕事を発注する大企業に集中的な働きかけを行う。公取委は、コスト負担を伴わない短納期発注などの下請法違反事案には厳正に対応、両省庁と足並みをそろえる。

 これまでの両省庁の調査で「しわ寄せ」事例と考えられるケースが11件、防止・改善事例が17件見つかっている。すでに関係省庁に提示しており、今後、監督官庁が事業者にヒアリングを行い、9月末をめどに内容の取りまとめを行う予定だ。

 新しい残業上限規制は上限を月45時間、年360時間とした上で、特別条項付き「36協定」を結べば繁忙期は月100時間未満まで残業を認めている。残業時間は年720時間までで、違反すると罰則が与えられる。

 ただ、中小は労使双方で残業時間の上限を決める「36協定」を締結している割合が6割程度にとどまる。日本商工会議所が1月に公表した中小企業を対象とした調査によると「残業の上限規制」について約4割が「知らない」と回答した。

日刊工業新聞2019年9月3日

  

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