ヘリウムついに値上げ、世界規模の需給逼迫で避けられず

大陽日酸、来年めど2-3割

 大陽日酸は2020年初頭をめどにヘリウムの出荷価格を引き上げる。販売単価ベースで現行と比べ2―3割の上昇を見込む。中国での半導体用途の需要増などで世界的にヘリウムの需給が逼迫(ひっぱく)しており、輸送費も上昇している。大陽日酸は安定供給するための調達コストの増加と、コストの価格転嫁は避けられないと判断した。

 ヘリウムは半導体や光ファイバーの製造、医療用のMRI(磁気共鳴断層撮影装置)などに使われる。生産方法はヘリウムガスを多く含む天然ガスから分離、精製するのが一般的だ。日本には高い濃度でヘリウムガスを含む天然ガスがなく、輸入に頼っている。

 生産国は米国やカタール、ポーランド、ロシアなどに限られる。最大生産国の米国からは、定期修理や土地管理局の民間払い下げ終了の影響で出荷量の減少が見込まれる。カタールでのヘリウム生産量が伸びているが、政情不安やホルムズ海峡の緊張状態などで不透明感が増している。

 大陽日酸は18年以降、顧客に十分に供給できない状況で、これが当面は続く見通し。安定供給に向け、調達先や輸送方法の多角化を図っており、今後、価格転嫁について顧客に理解を求める。18年には米子会社を通じ、ロシアの国営天然ガス企業のガスプロム子会社との売買契約を締結した。ガスプロムは21年に東シベリアでヘリウムの大規模生産を始める予定だ。

日刊工業新聞2019年8月21日

  

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