「アジア発メジャー」狙う大陽日酸、6500億円買収の勝算

市原社長、「経営する自信ある」

 大陽日酸は北米に次ぐ成長が見込める欧州市場に参入を果たす。同業の米プラクスエアが欧州で展開する産業ガスや炭酸ガス、ヘリウム事業の一部を買収すると発表した。取得額は50億ユーロ(約6438億円)で、大陽日酸の買収案件としては過去最高額となる。

 大陽日酸にとって、産業ガス世界1位の仏エア・リキードや同2位の独リンデのお膝元である欧州市場は特別だ。プラクスエアやエア・プロダクツなど米国勢を含む“海外メジャー”と鉄鋼や化学などの地元企業との結びつきは強く、そう簡単には手を出せない領域だった。大陽日酸は事業買収によって欧州市場に進出し、アジア発“メジャー”としての存在感を一気に高める。

 産業ガス世界3位のプラクスエアが事業を手放すのは、2018年内に計画するリンデとの経営統合を前に、欧州委員会から欧州事業の譲渡を求められていたためだ。大陽日酸の市原裕史郎社長は2社の合併決定に際し、「知識も経験もある領域で経営する自信もある」と語り、売却資産があれば買収する意向を示していた。いずれの事業も工場や販売網、顧客基盤が構築済みで、高い収益性が確約されている。大陽日酸にしてみればこれ以上ない魅力的な案件と言える。

 一方、日本国内では、急速に進んだ製造業各社の海外移転を背景に産業ガス市場は拡大が見込めない。大陽日酸はアジアや米国での合弁設立やM&A(合併・買収)を推し進め、新たな収益の柱に育ててきた。主な対象は空気分離装置(ASU)のような生産設備を構える同業と、これらメーカーや化学工場から各種ガスを仕入れてボンベに充填・供給する地域の販売会社だ。

 16年には米エアガスを買収したエア・リキードから米国の一部事業を買収。世界最大の市場規模を持つ北米で、事業規模の拡大を果たした。

 日刊工業新聞2018年7月6日

日刊工業新聞 記者

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07月08日
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大陽日酸の世界シェアは約6%で世界5位。今回の買収により、ほぼ無名に近い欧州での競争力が底上げされる。計約80%の世界シェアを誇る海外メジャー3社には遠く及ばないが、その名を知らしめるには十分。さらなる成長も視野に入る。(堀田創平)

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