ニュースイッチ

中国で工作機械の生産を撤退する豊和工業、国内に集約する背景

不採算部門を縮小、成長分野に経営資源
中国で工作機械の生産を撤退する豊和工業、国内に集約する背景

マシニングセンターなどライン化した豊和工業の中国工場

 豊和工業は海外の工作機械の製造・販売体制を再編する。中国での工作機械生産を止め、生産は日本に集約した。東南アジアでの販売はインドネシアに集約し、2020年3月にシンガポール販売子会社を清算する。一方、米国とインドで販売拠点の新設を検討している。不採算部門を縮小し、成長分野に経営資源を再配分する。

 中国子会社は丰和(天津)机床(天津市)。11年に稼働し、一部の部品は現地からも調達し、自動車部品用を中心に工作機械を生産していた。しかし人件費が稼働時の2倍に高騰。加えて中国以外から調達する部品は関税により、日本より調達コストが高い部品もあり採算が悪化した。

 そこで同子会社は天津市内で移転し、賃借していた工場を返却した。今後は外注も活用し、販売・保守と、工作機械のライン化や周辺機器の追加をするエンジニアリングに特化。現地でのきめ細かい対応は維持する。

 シンガポール販売会社はハードディスク駆動装置(HDD)部品の加工機などが売り上げの中心だった。商況が変化し、採算が悪化したためインドネシア販売子会社に機能を集約。豊和工業が得意な自動車用工作機械を中心に、インドネシアから東南アジア全域の市場を深掘りする。米国とインドで販売拠点の新設を検討するのも、自動車部品加工の市場開拓が狙いだ。

 同社は売上高営業利益率を19年3月期の4・6%から22年3月期に6・5%に伸ばす方針。体制の再編により、19年3月期の売上高223億円中の半分近くを占める工作機械事業の収益を改善する。

<関連記事>
DMG森精機が中国で大型マシニングセンターの生産を始めるワケ

大手自動車メーカーも注目、「生産改革」のキーマン



日刊工業新聞2019年8月20日(機械9)

編集部のおすすめ