モーターメーカー倒産にみる、変わらぬ“中国工場”リスク
フジマイクロが陥った負の連鎖
モーター開発業者のフジマイクロは、2019年5月15日に破産手続き開始決定を受けた。業界では一定の知名度を誇っていた同社に何が起こっていたのか。
設立当初より各種小型精密モーターの製造を行い、77年からは加藤スプリング製作所(現アドバネクス、東証1部上場)の子会社として、国内自社工場にて月生産約100万個の生産実績を上げるなど順調に業容を拡大させていた。
だが、バブル崩壊後一部事業の撤退から業績が悪化。債務超過に陥るなか、コスト削減の一環として国内自社工場を売却し製造拠点の中国移管を決断。この移転が功を奏し、2004年3月期に債務超過を解消した。08年3月期には年売上高約59億8200万円を計上し、業績を再び伸長させた。
しかし、同社をリーマン・ショックが襲う。国内メーカーの輸出不振を要因とし、翌09年3月期の年売上高は約47億700万円にダウン。同時期にアドバネクスの業績悪化から連結対象子会社からも外れ、持ち分法適用会社となった。
時を同じくして広州市の市街地にあった中国工場を郊外へ移転させる旨の命令が市から発せられ、工場移転を余儀なくされる。某中国企業から工場を賃貸することとなったが、その後、同社との間でトラブルが発生。これがもとでフジマイクロが倒産するという流言が噴出したことから従業員のストライキに発展し、やむを得ず従業員に対し経済補償金を支給した。
この騒動で移転のため金融機関から調達した14億円が債務として残り、運転資金が枯渇。その後は支払い遅延が頻発し、今年1月に事業を停止するに至った。
倒産要因はまさに「チャイナリスク」。経営の難局に立ち向かい決断した中国進出が工場移転問題に端を発するストライキによって最終的に致命傷を与えることとなった。以前から危惧されている「チャイナリスク」だが、いまだそのリスクは潜在しているといえる。
(文=帝国データバンク情報部)
<企業概要>
フジマイクロ(株)
住所:東京都墨田区江東橋1―16―2
代表:丸山忠作氏
資本金:1億円
年売上高:約15億9500万円(18年3月期)
負債:約17億円
設立当初より各種小型精密モーターの製造を行い、77年からは加藤スプリング製作所(現アドバネクス、東証1部上場)の子会社として、国内自社工場にて月生産約100万個の生産実績を上げるなど順調に業容を拡大させていた。
だが、バブル崩壊後一部事業の撤退から業績が悪化。債務超過に陥るなか、コスト削減の一環として国内自社工場を売却し製造拠点の中国移管を決断。この移転が功を奏し、2004年3月期に債務超過を解消した。08年3月期には年売上高約59億8200万円を計上し、業績を再び伸長させた。
しかし、同社をリーマン・ショックが襲う。国内メーカーの輸出不振を要因とし、翌09年3月期の年売上高は約47億700万円にダウン。同時期にアドバネクスの業績悪化から連結対象子会社からも外れ、持ち分法適用会社となった。
時を同じくして広州市の市街地にあった中国工場を郊外へ移転させる旨の命令が市から発せられ、工場移転を余儀なくされる。某中国企業から工場を賃貸することとなったが、その後、同社との間でトラブルが発生。これがもとでフジマイクロが倒産するという流言が噴出したことから従業員のストライキに発展し、やむを得ず従業員に対し経済補償金を支給した。
この騒動で移転のため金融機関から調達した14億円が債務として残り、運転資金が枯渇。その後は支払い遅延が頻発し、今年1月に事業を停止するに至った。
倒産要因はまさに「チャイナリスク」。経営の難局に立ち向かい決断した中国進出が工場移転問題に端を発するストライキによって最終的に致命傷を与えることとなった。以前から危惧されている「チャイナリスク」だが、いまだそのリスクは潜在しているといえる。
(文=帝国データバンク情報部)
<企業概要>
フジマイクロ(株)
住所:東京都墨田区江東橋1―16―2
代表:丸山忠作氏
資本金:1億円
年売上高:約15億9500万円(18年3月期)
負債:約17億円
日刊工業新聞2019年6月25日