空間デザインの次世代トレンドは「テクノロジー」と「自然」

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外部空間を大胆に取り入れた縁側文化を感じさせる空間デザイン
 最近、セミナーで「インテリアとテクノロジーの融合」というテーマで、ミレニアル世代がけん引する未来の空間デザインについて話す機会に恵まれた。消費のけん引役として注目されるミレニアル世代の価値観については商品開発などで意識されている企業も多いだろう。ミレニアル世代とは、2000年代に成人を迎える1980年−2000年初頭生まれの世代を指す。この世代の特徴的な価値観として「ノンヒエラルキー(階層構造的でない価値観のあり方)」「体験志向」「プライベートと仕事の共存」「会員制交流サイト(SNS)での情報収集」などがある。

 この世代の価値観から着目すべき空間トレンドとして「生活空間へのテクノロジーの浸透」と「リラックス・自然への回帰」だ。最近さまざまなところでこの二つのトレンドに関する動きが見られる。前者の例では、家具や建物の中にテクノロジーが埋め込まれ、ハードウエアを意識せずともさまざまな情報取得や、コミュニケーションツールとして活用できるような空間へのテクノロジーの浸透がある。後者では、北欧のヒュッゲという、時間の過ごし方や心の持ち方を大切にする価値観が世界的にブームになっており、リラックスするためのプロダクトが開発されていること、自然と一体の生活が求められてきたことなどが挙げられる。

 東京都心のホテルやビルでも、高層階であるにもかかわらずテラスや中庭を設け、植栽を植え込み、自然とつながる空間を作るというデザインが増えてきた。屋外にある自然を取り込むデザインが見直されて増えてきたことは、ミレニアル世代の台頭と無縁ではない。この内と外とのつながりに着目したデザインは、従来縁側文化を持つ日本ではなじみのあるもので、実は日本人が最も得意とする手法なのだ。

 ロンドンで開催のホテルデザイン国際コンペティションで私たちが発表した空間デザインも、外部空間を大胆に取り入れた縁側文化を感じさせるもので、海外のデザイナーや来場者から大きな注目と評価をいただいた。

 新時代の価値観と日本の建築文化を融合したデザインが、新しいトレンドとして、海外の人の心もとらえたようだ。(見月伸一・三井デザインテック・デザインマネジメント部長)

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日刊工業新聞2019年8月16日

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