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子ども服ブランドの倒産、店舗数の割に知名度が上がらなかったワケ

共通のロゴやキャッチーなデザインなし、女子中心で父親の認知度も今ひとつ
子ども服ブランドの倒産、店舗数の割に知名度が上がらなかったワケ

事業継続を断念し各店舗も閉鎖へ(公式サイトより)

 マザウェイズ・ジャパンは子ども服小売業者。当初は英国の有名子ども服ブランドのフランチャイジーとして設立された。2000年には自社オリジナルブランド「motherways」商品で統一。アイテム数は常時4000種以上を取り揃え、中心価格帯は1990円と、ファストファッションや百貨店ブランドと競合しない中間価格帯で展開していた。

 その後、スケールメリットを求めてショッピングモールへの出店を続け、事業を拡大。05年には、25店だった店舗数は18年には98店まで増加。売上高も19年1月期には年売上高約81億円を計上するまでに至った。

 しかし、店舗数に比べて「motherways」のブランド力はいまひとつ。原因は商品性と価格帯にある。共通のロゴやキャッチーなデザインがない製品は、はた目には「motherways」だとはわからない。

 さらに近年は女児向け商品が大半を占めていたこともあり、男児の親には知名度は上がらなかった。ファンであった顧客でさえも子どもの成長により数年で店から離れるという子ども服特有の悩みもあった。

 さらに、安くもなく高くもない中間価格帯は、普段着にはぜいたくだが贈答品には物足りないという認識を持たれていた。

 店舗を増やすことで17年までは右肩上がりの売り上げを続けていたものの、その後は横ばいを維持するのが精いっぱい。収益面をみても店舗数を伸ばしているさなかの13年には円安が進み、さらに、中国での人件費高騰などから原価率は円高時に比べ5割増しとなったことで利益は減少。最新期の1店舗の年間収益は平均13万円、店舗がひと月に上げる収益は1万円程度だった。

 経営は銀行からの資金調達を繰り返すことでなんとか回っていた。しかし、直近2年は資金調達も計画通りとはいかず、資金繰りは綱渡り状態が続いたことから事業継続を断念し、6月30日に大阪地裁へ自己破産を申請することとなった。
(帝国データバンク情報部)
<企業概要>
◇マザウェイズ・ジャパン(株)
住所:大阪市中央区南久宝寺町1―5―7
代表:根来豊氏
資本金:1000万円
年売上高:約81億3100万円(19年1月期)
負債:約59億6000万円
日刊工業新聞2019年8月6日

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