大学研究者が集結する異色のスタートアップ、社会実装の駆動役に

インテリジェントスタイル、長期的プロジェクトの受け皿に

 大学での研究成果をいかに実社会で生かすか。多くの研究者が直面する課題だ。Intelligent Style(インテリジェントスタイル、大阪市北区)は、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などの研究者が集結し、研究成果による社会的な課題解決に取り組む。個々の研究成果や研究室ごとに設立されるベンチャーが多い中、10人以上のさまざまな大学の研究者が一堂に会する珍しい事例だ。

 AIによる交通流調査や土木現場での飛行ロボット(ドローン)活用、全国の「道の駅」ポータルサイト運営などを手がける。業務の中核を担う執行役員4人は全員が異なる大学の研究者。研究員を含め、法政大学や琉球大学、九州大学など遠方の大学の所属者がいる。大学での研究や指導と並行して業務を進める必要があり、取りまとめを担う樋渡達也社長は「世話役として連絡を密に行う」と気を配る。

 所属する研究者は、産学官連携のための学生ベンチャー関西総合情報研究所(大阪市淀川区)出身者が中心。インテリジェントスタイル会長を務める関西大学総合情報学部の田中成典教授のゼミから誕生した。富士電機や大塚商会など企業の出資も受け、研究成果の社会実装に取り組んできた。

 その卒業生が若手研究者として全国の大学に勤務するようになってきたことから、2018年11月にインテリジェントスタイルが設立された。

 業務の中核を担う1人である山本雄平執行役員は「社会に役立つものを開発することで任期付きの研究者のアピールにもなる」と力説する。

 大学の常勤ポスト不足は多くの研究者が直面する課題だ。早期の成果が求められる状況で、社会実装の実績を積むチャンスがあるのは研究者にとって大きな弾みとなる。社員としては長期的に所属するため、学生ベンチャー時代より長期的なプロジェクトに参加しやすくなった。

 資本金の5000万円は、所属する研究者や連携している企業の関係者ら37人による全て個人の出資。金融機関などからの資金提供はないが、道路の点群データ管理の研究が18年度の紀陽銀行のベンチャー支援策「紀陽イノベーションサポートプログラム」に選ばれた。

 事業計画への助言や、自治体の支援策やファンドなどの活用に向けた支援、研究開発奨励金などが受けられる。「道の駅ポータル」など軌道に乗っているテーマもあるため、3―5年後の上場を目指している。

<関連記事>
国立大が生き残っていくための「卓越」という選択


樋渡達也社長

(大阪・安藤光恵)

日刊工業新聞2019年8月1日

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。