厨房靴を妊婦が購入、新業態で出店攻勢「ワークマン」のぶれない“プロ目線”

小濱社長「あくまで土台はプロ向けの作業服」

 一般客向けカジュアルウエアの新業態「ワークマンプラス」が好調なワークマン。18年9月に第1号店をオープンさせて以降、「予想を上回る売れ行き」(小浜英之社長)が続いていることから、出店攻勢を一段と強めている。

 同社は作業服・作業用品を主力商品として手がけてきた。このため既存の路面店は今でも建設業界などの“職人向け”のイメージが強い。しかし、主要顧客であるこれらの業界の作業者が年々減少し、高齢化も進行しており、若年層や女性の需要の取り込みがテーマとなっていた。

 顧客開拓の戦略を推進するきっかけとなったのが、プロ向けの商品開発で培った優れた機能性と価格の低さに着目する人が思わぬ形で出てきたこと。例えば、作業現場向けの防寒服や防水服が釣りやバイクの愛好家の間で話題となったほか、飲食店などの厨房(ちゅうぼう)用に開発した靴は、「“滑りにくさ”が受け、妊娠中の女性が購入するケースが増えている」(同)。

 こうした新たな顧客の意見を商品開発に反映させ、機能やデザインを磨いてきたことも人気の背景となっているようだ。会員制交流サイト(SNS)による拡散という追い風もあり、客層がさらに広がっている。

 ワークマンプラスの今後の出店計画についても、同社は強気の姿勢を打ち出している。大都市のショッピングセンターへの出店をはじめとする新規の40店舗や、関東・東海・東北地方で優先的に進める既存店舗の改装と合わせて、20年3月末までに計77店舗まで増やす計画を掲げている。

 業績好調の中、4月1日付で取締役スーパーバイズ部長から就任した小浜社長。ただ取締役の時から「自分の考えを持って職務にあたってきた」だけに気負いはない。「現在の良い流れを引き継いでいく。取締役と異なり社長は全体をみる立場で、経理など経験していない部署もあるが、分からないことや疑問に思ったことがあれば若い社員にもどんどん聞きたい」という。

 「ワークマンプラス」によって客層が拡大。それに伴い作業服の売り上げも伸長している。しかし「我々の強みは、低価格で高機能な商品群。一般客の注目度が高まっているとはいえ、あくまで土台はプロ向けの作業服だ。プロに認めてもらえることが会社の魅力や信頼性につながっている。それがぶれると商品づくりもぶれてしまう」と冷静だ。

 今後、一般客向けの商品の売り上げ拡大への対応をさらに進めていく考え。「インフラ整備など社内での対応をもっと急ぐ必要がある。売れている商品をより多く置き、デザインが目立つように改装や陳列にも力を入れている」と話す。

 「店舗の新たな標準づくりにも取り組みたい。例えばレイアウト。店内の商品構成は現在、プロ向け商品とカジュアル衣料の3ブランドで半分ずつとなっているが、これを各地域の特性に応じた陳列に変えていく。圧縮陳列も実験中だ」。
                  


日刊工業新聞2019年7月11日の記事に加筆

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。