変種変量や衛生…食品工場のロボ導入を阻む課題たち

オムロンはカメラ機能一体型の協働ロボットを投入
 人手不足や食品ロスといった課題が顕在化する食品製造業。ロボットなど工場自動化(FA)技術の応用で解決を目指すが、費用対効果や機械技術者不足といった新たな課題に直面する。不定形物の扱い、変種変量生産への対応、衛生管理など、これまで人であれば問題にならなかった課題も浮上する。こうした複雑に絡み合った問題の解決に向け、FA関連各社は関係者と連携し、一つひとつ課題を乗り越えようと奮闘している。(文=西沢亮)

配置換え容易に


 食品工場では食品ロス削減のため、日持ちがしない商品を適切な時期に適量生産することなどが求められる。一方、人手が思うように集まらず、人での需要調整が難しくなり、簡単に導入できるロボットへの期待が高まっているという。

 オムロンはカメラ機能を一体化した協働ロボットを投入する。同ロボットは安全柵が不要で配置換えも容易。ベルトコンベヤーなど同じ高さの作業台であれば、再配置後のカメラの調整を自動化でき、移設のたびに必要だったロボットの設定作業を不要にした。木村直弘統括部長は「品種が変わっても、機械の専門知識がない作業者が、ロボットを移動して簡単に扱える」と強調する。

多様な形状識別


 「不定形、不特定多数の製品を高速でハンドリングできる」。ファナックの稲葉清典取締役専務執行役員は、開発したロボットへの取り付けも可能な3次元カメラ機能に自信を示す。形状の異なる菓子など数十種の製品が無造作に積まれたコンテナ内の状況をカメラで認識し、ロボットでつかんでコンベヤーに移す作業での活用などを想定。独自の技術で製品の形を事前に登録することなく認識し、別の製品を追加しても新たな設定なしに簡単に導入できる。 

 川崎重工業は段ボール箱を作って箱詰めする作業を協働ロボット2台と周辺機器で自動化。上下方向のアームの可動域を広げた独自機構を採用し、底が深い段ボールへの箱詰めを実現した。箱の底にテープを貼る機構は装置メーカーと連携して開発し、「価格も抑えた」(長谷川省吾理事)。

着せて清潔保つ


 食品と自動車などの生産の違いの一つに衛生管理がある。デンソーウェーブ(愛知県阿久比町)は、着せるだけでロボットを化学薬品で洗浄できるジャケットを開発。自動車産業などで広く使われる汎用的なロボットを食品工場でも使えるようにした。安川電機は無塗装の協働ロボットを試作。塗装剥がれによる異物の混入を防ぐ。

 日本ロボット工業会によると2018年の食品分野向けロボットの出荷台数は前年比44%増えたが、全体に占める割合は1%に満たなかった。需要が高まる一方、導入が思うように進んでいない状況が浮かぶ。複雑に絡む問題を解決するには、食品のつくり方を含めサプライチェーン全体で見直すなど関係者の連携も重要になる。オムロンの木村統括部長は「食品工場でのロボット活用は黎明(れいめい)期」と認識。各社は待ったなしの課題に技術と知恵で向き合っている。

日刊工業新聞2019年7月12日

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