日本精工の役員に直撃、なぜVWと電動パワステで提携するんですか?

麓執行役専務「開発工程の上流に入るきっかけに」

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(写真右が日本精工の麓執行役専務)
 日本精工は、6月に独フォルクスワーゲン(VW)とステアリング事業で協業することに合意した。VWの部品内製部門と互いの技術を持ち寄って、2022―23年をめどに、車の電動パワーステアリング(EPS)の新製品を共同で開発、次世代技術への対応を加速する。提携の狙いなどについて、日本精工の麓(ふもと)正忠執行役専務に聞いた。

 ―ハンドル操作をモーターなどで補助するEPSは、ステアリング市場の7割以上を占める重要な部品です。
 「VWとは、軸受やステアリングで10年以上取引関係がある。EPSの中でも当社は補助機能をハンドル側に設置する『コラムタイプ』が得意で、VWにもグローバル規模で納めている。協業では補助機能をタイヤ側の下流に設けるタイプを中心に開発し、品ぞろえを増やしていきたい。生産にも寄与する案件で、期待している」

 ―VWは、内製部門で自らEPSを開発しています。
 「VWの内製部門と当社から互いに技術者を出し合い、6月にプロジェクトチーム(PT)を立ち上げて開発を始めた。従来はVWから示された仕様に合わせて開発し、すり合わせながら製品化するサプライヤーと顧客の関係だった。PTでは完成車メーカーならではの知見やバックデータを持つVWの技術者と共同開発することで、より良いEPSを開発し、開発工程の上流に入るきっかけにもなると考えている」

 ―CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる次世代技術への対応は。
 「自動運転など車が高度化していくなか、独立系部品会社の当社にとって、完成車メーカーの知見の近くで開発できることは大きなメリットになる。CASEでは、EPSに求められる機能が補助以外に増えてくる。協業を通じて新たな技術に対応するほか、知見、競争力を底上げし、主力の日系車メーカーなどとのビジネスにも貢献していきたい」

 ―VWの思惑をどう予想しますか。
 「CASEへの対応など開発領域が広がるなか、開発費や人材などの経営資源を共有することで効率化し、重要部品のEPSの開発を続けながら開発スピードも加速できる。また当社は独立系として外でもまれている分、軽量化につながる設計や量産技術といった部品メーカーならではの競争力があると自負しており、内製部門とも補完関係を築けると考えている」

【チェックポイント/独立系、存在感高まるか】
 「VW色に染まってはいけないし、VWも望んでいない」。麓執行役専務は、独立系部品会社として、日系完成車メーカーに数多く製品を納めてきた実績が協業の一因と分析する。またVWからは協業で得た知見や経験は他の車メーカー向けの製品開発にいかすことも認められているという。CASEという新潮流のなか、車メーカー間の量産効果を引き出し、互いに競争力を高め合うパートナーとして、独立系部品メーカーの存在感が高まるか注目される。
(文=西沢亮)

日刊工業新聞2019年7月2日

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