評価を上げるために必要なものは上手な文章より伝わる文書!?
おすすめ本の紹介『しっかり伝わる! 評価が上がる! 技術者のための社内文書の書き方』(中川和明・著)
**文書は執筆者からのメッセージだ
世間には文書の作成方法を解説する種々の書籍やセミナーがあります。それらのタイトルは「○○○な文章の書き方」、「○○○な文書の書き方」などで、実態として「文章」と「文書」が混在されて使われています。私自身もセミナーでは、「文章力が大事だ」や、「文書作成力が低下している」と言っていました。そもそも「文章」と「文書」とは何が違うのでしょうか。
私は本書でこの2つを明確に区別して使うようにしています。そのうえで、文書とは、執筆者の意思と文章と図表などで構成され、執筆者が読者に、期待する行動を起こしてもらうために読んでいただく一塊のメッセージであると私は考えています。執筆者の意思が込められている、という点がポイントです。パワーポイントなどで作られたプレゼンテーション形式の資料も、執筆者の意思が込められているので文書のひとつと考えます。
これに対して文章とは、さまざまな情報を言語・文字で表したもので、文書を構成する要素のひとつであると考えています。要するに文書に情報をもたらす構成要素だという位置づけです。
このような区別と定義の下で、本書では読みやすい「文書」の書き方を解説します。逆に言えば、個別の言語と密接に関係している「文章」の書き方は解説しません。文書に情報をもたらす文章と図表などを駆使して、如何に執筆者の意思を込めるか、そしてそれを読者にどのように伝えて期待する行動を起こしてもらうかが最も重要なのです。
たとえば民間企業に就職した技術者は、その会社生活でどのような文書に出会い、どのような文書を書くことになるのでしょうか。ベテランの方はすでにご存じだと思いますが、特に製造業の企業であれば、おおよそ表に示す文書と関わることになるはずです。入社した直後から上司に「書きなさい」と指示されるものもあれば、中堅技術者になってから書く機会が巡ってくるものもあります。表では、入社以降で執筆時期が早い順番に文書を並べています。本書の読者で会社に入ってまだ日が浅い方は、今後執筆するであろう文書には、このような種類があることを承知いただきたいと思っています。
さて、これらの文書が上手に書けなくても仕事はできます。しかし、「週報」「議事録」が上手に書けなければ上司に仕事の進捗が伝わらなくなり、「技術報告書」が上手に書けなければ他の技術者があなたの成果を認めてくれなくなるかもしれません。特に「開発提案書」が上手に書けるかどうかは、あなたがやりたい仕事をやらせてもらえるか否かを決める大きな分岐点になります。つまり、これらの8種類の文書を上手に読みやすく書ければ、あなたが会社を自在に動かすことができると言っても過言ではないのです。
書籍紹介
しっかり伝わる!評価が上がる!技術者のための社内文書の書き方
中川和明 著、A5判、180ページ、税込2,160円
大切なのは、上手でなくても伝わる文書。東芝で培った、社内の技術文書作成のコツを解説します。部下の文書指導に悩む技術者向けに付録「査読を頼まれたときに心がけること」も収録しています。さまざまな場面で活用できる一冊です。
著者紹介
中川 和明(なかがわ・かずあき)
東芝総合人材開発株式会社取締役。公益社団法人日本工学教育協会理事。博士(工学)
1961年生まれ、東京都出身。1986年慶応義塾大学大学院工学研究科修士課程を修了し、株式会社東芝に入社。同社総合研究所で材料とエネルギーに関わる研究開発に17年間従事、2003年に持続可能な社会システムの構築を目指して新設された環境技術ラボラトリー室長に就任。その後、同社営業統括部門にて営業技術部長として法人顧客の課題解決に取り組んだ。近年では同社の社会インフラ事業部門で技術戦略の立案を担当する技術企画部長に就任。2017年から現職。
公益社団法人電気化学会から「技術賞・棚橋賞」、一般社団法人日本ファインセラミック協会から「技術振興賞」、The American Ceramic Societyから「R.M.Fulrath Award」など受賞多数
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目次
第1章 読みにくい文書とはこんなものだ
文書は執筆者からのメッセージだ
技術者が書く文書の種類
読みにくい文書には4つの典型的なタイプがある
読みにくい文書ができる原因はこれだ
第2章 執筆前に文書の出来の7割が決まる
文書の基本設計
文書を執筆する難易度
文書の詳細設計
第3章 執筆前に考える文書別テクニック
週報を執筆するコツ
議事録・出張報告書を執筆するコツ
技術報告書・学術論文を執筆するコツ
開発提案書を執筆するコツ
予算計画書を執筆するコツ
顧客向け提案書を執筆するコツ
プレスリリースを執筆するコツ
人事関係の推薦書を執筆するコツ
文書別テクニックのまとめ
第4章 読みやすくするために執筆を始めてからすべきこと
まずは恥をかかないための注意
格調を高くするためのテクニック
読みやすくするためのテクニック
執筆後にすべきこと
第5章 査読をお願いするときに心がけること
査読者の分析
査読者と付き合うコツ
真の師匠をめざして
付録 査読を頼まれたときに心がけること
査読を始める前にすべきこと
査読結果の伝達方法
査読業務の実際
本書の内容に合わせて、著者である中川和明氏によるセミナーが開催されます。ぜひご参加ください。
「読んでもらう目的とターゲット読者を考える文書の書き方~文書作成の戦略を解説する文書講座~」
日時:2019年7月26日(金)13:30~
会場:日刊工業新聞社東京本社
詳細はこちら→https://corp.nikkan.co.jp/seminars/view/2851
Amazonでの購入はこちら(画像をクリック)
世間には文書の作成方法を解説する種々の書籍やセミナーがあります。それらのタイトルは「○○○な文章の書き方」、「○○○な文書の書き方」などで、実態として「文章」と「文書」が混在されて使われています。私自身もセミナーでは、「文章力が大事だ」や、「文書作成力が低下している」と言っていました。そもそも「文章」と「文書」とは何が違うのでしょうか。
私は本書でこの2つを明確に区別して使うようにしています。そのうえで、文書とは、執筆者の意思と文章と図表などで構成され、執筆者が読者に、期待する行動を起こしてもらうために読んでいただく一塊のメッセージであると私は考えています。執筆者の意思が込められている、という点がポイントです。パワーポイントなどで作られたプレゼンテーション形式の資料も、執筆者の意思が込められているので文書のひとつと考えます。
これに対して文章とは、さまざまな情報を言語・文字で表したもので、文書を構成する要素のひとつであると考えています。要するに文書に情報をもたらす構成要素だという位置づけです。
このような区別と定義の下で、本書では読みやすい「文書」の書き方を解説します。逆に言えば、個別の言語と密接に関係している「文章」の書き方は解説しません。文書に情報をもたらす文章と図表などを駆使して、如何に執筆者の意思を込めるか、そしてそれを読者にどのように伝えて期待する行動を起こしてもらうかが最も重要なのです。
技術者が書く文書の種類
たとえば民間企業に就職した技術者は、その会社生活でどのような文書に出会い、どのような文書を書くことになるのでしょうか。ベテランの方はすでにご存じだと思いますが、特に製造業の企業であれば、おおよそ表に示す文書と関わることになるはずです。入社した直後から上司に「書きなさい」と指示されるものもあれば、中堅技術者になってから書く機会が巡ってくるものもあります。表では、入社以降で執筆時期が早い順番に文書を並べています。本書の読者で会社に入ってまだ日が浅い方は、今後執筆するであろう文書には、このような種類があることを承知いただきたいと思っています。
さて、これらの文書が上手に書けなくても仕事はできます。しかし、「週報」「議事録」が上手に書けなければ上司に仕事の進捗が伝わらなくなり、「技術報告書」が上手に書けなければ他の技術者があなたの成果を認めてくれなくなるかもしれません。特に「開発提案書」が上手に書けるかどうかは、あなたがやりたい仕事をやらせてもらえるか否かを決める大きな分岐点になります。つまり、これらの8種類の文書を上手に読みやすく書ければ、あなたが会社を自在に動かすことができると言っても過言ではないのです。
書籍紹介
しっかり伝わる!評価が上がる!技術者のための社内文書の書き方
中川和明 著、A5判、180ページ、税込2,160円
大切なのは、上手でなくても伝わる文書。東芝で培った、社内の技術文書作成のコツを解説します。部下の文書指導に悩む技術者向けに付録「査読を頼まれたときに心がけること」も収録しています。さまざまな場面で活用できる一冊です。
著者紹介
中川 和明(なかがわ・かずあき)
東芝総合人材開発株式会社取締役。公益社団法人日本工学教育協会理事。博士(工学)
1961年生まれ、東京都出身。1986年慶応義塾大学大学院工学研究科修士課程を修了し、株式会社東芝に入社。同社総合研究所で材料とエネルギーに関わる研究開発に17年間従事、2003年に持続可能な社会システムの構築を目指して新設された環境技術ラボラトリー室長に就任。その後、同社営業統括部門にて営業技術部長として法人顧客の課題解決に取り組んだ。近年では同社の社会インフラ事業部門で技術戦略の立案を担当する技術企画部長に就任。2017年から現職。
公益社団法人電気化学会から「技術賞・棚橋賞」、一般社団法人日本ファインセラミック協会から「技術振興賞」、The American Ceramic Societyから「R.M.Fulrath Award」など受賞多数
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第1章 読みにくい文書とはこんなものだ
文書は執筆者からのメッセージだ
技術者が書く文書の種類
読みにくい文書には4つの典型的なタイプがある
読みにくい文書ができる原因はこれだ
第2章 執筆前に文書の出来の7割が決まる
文書の基本設計
文書を執筆する難易度
文書の詳細設計
第3章 執筆前に考える文書別テクニック
週報を執筆するコツ
議事録・出張報告書を執筆するコツ
技術報告書・学術論文を執筆するコツ
開発提案書を執筆するコツ
予算計画書を執筆するコツ
顧客向け提案書を執筆するコツ
プレスリリースを執筆するコツ
人事関係の推薦書を執筆するコツ
文書別テクニックのまとめ
第4章 読みやすくするために執筆を始めてからすべきこと
まずは恥をかかないための注意
格調を高くするためのテクニック
読みやすくするためのテクニック
執筆後にすべきこと
第5章 査読をお願いするときに心がけること
査読者の分析
査読者と付き合うコツ
真の師匠をめざして
付録 査読を頼まれたときに心がけること
査読を始める前にすべきこと
査読結果の伝達方法
査読業務の実際
著者セミナー開催
本書の内容に合わせて、著者である中川和明氏によるセミナーが開催されます。ぜひご参加ください。
「読んでもらう目的とターゲット読者を考える文書の書き方~文書作成の戦略を解説する文書講座~」
日時:2019年7月26日(金)13:30~
会場:日刊工業新聞社東京本社
詳細はこちら→https://corp.nikkan.co.jp/seminars/view/2851
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