RNAに注目集まる!肌の健康状態把握や創薬に応用

 リボ核酸(RNA)の活用が広がりをみせている。デオキシリボ核酸(DNA)の情報に基づき酵素やホルモンなどのたんぱく質を生み出すもととなる分子で、多くの情報が含まれる。花王はRNAを肌から簡単に採取し、解析する方法を確立。1人ずつの健康状態に合わせたヘルスケアを実現する可能性を模索する。またエディットフォース(福岡市中央区)は、創薬への応用を目指して動きだしている。

簡単に採取


 「皮膚が将来どのように変化するかがわかる可能性がある―」。花王基礎研究セクター生物科学研究所の井上高良研究員は目を輝かせる。

 同社は皮脂の中に分析可能な長さのRNAが含まれており、あぶらとり紙で皮脂をとるだけでRNAを簡単に採取できることを発見した。このRNAを解析し、肌の状態を可視化する「RNAモニタリング」を開発した。

 さらに健康な肌の男性38人とアトピー性皮膚炎の男性37人の肌を解析し、比較する実験を実施した。結果アトピー性皮膚炎の患者には皮膚のバリアー機能維持に重要なRNA種の発現が減少しており、炎症に関わるRNA種の発現が上昇していることが確認された。

 またアトピー性皮膚炎の症状が重くなるにつれて発現が上昇することがわかっているRNA種が、皮脂内でも同様に上昇することも明らかになった。アトピー治療の個別化治療で、活用可能性があるという。

 井上研究員は「分子レベルで目に見えない情報を得られるようになり、正確に肌の状態を把握できる。RNAからは膨大な情報を得られる。皮膚だけでなく体内の状態の把握にも活用できる可能性はある」と話している。

 膨大な情報を含むRNAを手軽にとれる同技術。解析方法を変えれば横展開できる。多方面から期待が寄せられている。

まずは医療分野


 エディットフォースではRNAの編集技術を開発、創薬に活用すべく研究を続けている。まずは医療分野へ、そして農業、化学分野へも参入したい考えだ。

 同社はRNAを操作できる独自技術「PPRタンパク質工学技術」を開発した。特定のRNAの配列に合わせて植物性たんぱく質を改変する。同RNAに結合するようになり、働きを抑制もしくは活性化する。また同たんぱく質には機能性分子を融合させることも可能だ。“はさみ”をつければ、RNAの標的部分を切ることもできるという。

 小野高社長は「DNAは変なところを編集してしまうと自分ではなくなってしまう危険がある。RNAであればそこまではいかない。副作用の面からも実用性は高い」と話す。

 現在、概念や理論の実用化が可能であることを示す概念実証を実施中。将来的には同たんぱく質を提供し、大学や製薬会社と共同で創薬したい考えだ。
(門脇花梨)

日刊工業新聞2019年7月2日

  

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