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ドローンの携帯電波網使用、数時間前申請に緩和へ

総務省、2020年末をめど
ドローンの携帯電波網使用、数時間前申請に緩和へ

NTTドコモは3月にLTE通信端末の送信電力を最適化し、福島での実証実験に成功した

 総務省は、携帯電話網を用いて機体を制御する飛行ロボット(ドローン)の規制を緩和する。混信を軽減する機能の開発が進んだことを受け、2020年末をめどに、飛行数時間前まで申請を受け付けるようにする。携帯の電波を使うドローンは空に上がると混信を引き起こすため、現在は実用化試験に使う携帯基地局の免許手続きだけで約1カ月かかる。携帯事業者の運用システム整備を待ち、ウェブ経由による簡素な申請で飛行を可能にする。

 携帯電話網を使うドローンは、機体に搭載したLTE通信端末で基地局の電波を送受信している。ただ、遮蔽(しゃへい)物がない上空は地上に比べて電波が届きやすく、ドローンが地上と同じ電力制御で電波を発すると必要以上の送信電力が出てしまう。

 同じ周波数の電波を用いる他の基地局との混信を引き起こし、地上の携帯電話が通じないなどの影響を及ぼす懸念があった。このため、現状の試験飛行では飛行区域は必要最小限に限定され、申請も面倒だった。

 これに対しNTTドコモが3月に、ドローンが搭載するLTE通信端末の送信電力を最適化する機能を開発したと発表した。これにより混信は大幅に軽減される見通しが立ったため、規制を緩和する。

 同機能を搭載したドローンを対象に、19年にも実用化試験で使う基地局の免許の条件から、飛行区域の制限を試行的に撤廃する見込み。12月の中間報告、20年2月の電波監理審議会の答申を経て、飛行手続きを簡素化する計画だ。

 携帯電話網を用いたドローンの自動運転が実現すれば、物流や警備、農作業を効率化し、地方創生にもつながる。鉄塔点検も容易になるため、ドローンの運用基盤を提供するNTTドコモやKDDIからは早期の規制緩和を求める声が強く出ている。
日刊工業新聞2019年6月24日

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