G20軽井沢会合の展示会、注目集めたベンチャーの商品とは

技術・行動でプラゴミ対策推進

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G20会合出席の海外要人も展示会場を視察(手前はトヨタ自動車の燃料電池車のカットモデル)
 主要20カ国・地域エネルギー・環境相会合が15、16の両日、長野県軽井沢町で開催された。海洋プラスチックゴミ問題の解決に向けて各国が協力する国際的な枠組みの創設を決めるなど、成果を上げて閉会した。会議が開かれたホテル近くの展示会場では日本企業がプラ問題解決に貢献する技術や商品を展示し、世界に発信した。

 JR軽井沢駅前のショッピングセンター駐車場の仮設展示会場で「G20イノベーション展」が開催された。出展は約80社・団体。石油由来プラスチックの代替素材の展示が目立った。特に出品数が多かったのがベンチャーのTBM(東京都中央区)だ。植物を育てるポット、食器、傘などテーブルに並んだ商品すべての主成分が石灰石だ。同社は石灰石と石油系樹脂を混ぜて成形する技術を持つ。石油由来プラの削減につながるため採用企業が増え、用途が広がっている。

 今回、石油系樹脂を一切使わないバッグを初めて紹介した。15日のG20会合開会の席で世耕弘成経済産業相が2020年4月1日からのレジ袋有料化を目指すと表明したこともあり、来場者の関心も高かった。同社の羽鳥徳郎サスティナビリティー・アクセラレーターは「有料化が追い風になる」と期待する。

 三菱ケミカルホールディングスの奥村淳サーキュラーエコノミーグループマネージャーも「関心のある方からの引き合いが多い」と手応えを語る。同社は生分解性素材を使ったカップやストローを展示した。隣ではカネカが海でも分解する海洋生分解性素材を紹介。実際に分解されていく課程が分かる工夫もした。G20会合で政府は生分解性素材製のカップ、ボールペン、IDフォルダーを海外の閣僚に配布し、日本の技術力を実感してもらった。

 木製ストローを体験できるブースもあった。このストローはアキュラホーム(東京都新宿区)が量産に成功した。今回、G20の文字を印字した木製ストローをプレスルームにも提供した。紙製よりも丈夫で違和感なく使え、実際に果物ジュースを飲んだ男性は「飲みやすい」と語った。

 会場ではリサイクルの訴求も多かった。セブン&アイ・ホールディングスはペットボトル回収機を実演していた。飲み終わったペットボトルを投入すると、あっという間につぶして収納する。ペットボトルは圧縮することで運搬しやすくなり、リサイクルにつながる。

 回収機はグループのコンビニ、スーパーの店頭に759台があり、18年度は3億本をリサイクルした。サステナビリティ推進部の尾崎一夫オフィサーは「動画を撮影する外国の方が多い」と反響を語る。回収に協力すると買い物で利用できるポイントを付与し、リサイクルへの動機付けをしている取り組みにも外国人が興味を示すという。回収機は、廃棄物回収の制度が未整備で廃プラの海への流出が多い途上国などで参考になりそうだ。

 花王はフィルム形状の詰め替えシャンプーを紹介した。ボトルに比べてプラ使用が大幅に減る。使用後のフィルムは子どもが遊ぶブロックの材料に再利用している。フィルムを単一素材化し、フィルムからフィルムへの資源循環の研究も進めている。

海洋プラ対策 各国が学び合う場に


 G20で創設が決まった海洋プラゴミ対策の実施枠組みは、海への廃プラの流出を防ぐ行動計画を各国がつくり、成果を年1回は報告する。行動計画は各国の能力に応じて策定してよく、数値目標まで求めない。参加国が相互に監視することで実効性を担保した。

 各国の自主性に委ねた“緩やかな”枠組みだが、途上国にもプラゴミ対策が促される。日本企業にとっては海外に代替素材やリサイクル技術を売り込むチャンスが生まれた。G20会合でも、各国が自国の海洋プラ対策を紹介し合う「学び合う場だった」(環境省幹部)といい、日本の技術にも関心が高まったはずだ。

日刊工業新聞2019年6月21日

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

日刊工業新聞21日の「SDGs面」から。G20軽井沢の展示場はプラの使用削減、リサイクル、生分解性プラの展示でいっぱいでした。化学、日用品、セブンイレブンなど業界横断的で、取り組みの幅の広さを実感しました。軽井沢の1度きりに限らず、またやってほしいです。大阪サミットの成果にも期待です

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