SDGsを実践する京都市長が考える日本文化のすごさ

門川大作市長インタビュー

持続可能な開発目標(SDGs)を行政運営の参考にする自治体が増えている。京都市は思い切った環境政策が経済や社会にも好影響を及ぼし、SDGsを実践してきた。過去からの延長にとどまらず、「イノベーションを起こす」と語る門川大作市長に、京都市のSDGsへの取り組みを聞いた。

 ―市長はSDGsをどう理解しましたか。
 「感動した。かつて国際児童年、障害者年、婦人年とテーマを決めて注力してきた。SDGsは2030年までに総合的に取り組もうということだ。新しいことをやらなくてもいいが、既存計画も新しい視点で見てイノベーションを起こす。過去の延長で『SDGsをがんばっています』ではないだろう」

 ―市の取り組みは。
 「災害や人口減少といった危機に対応し、魅力と活気のある都市にする『レジリエント・シティ』や創生総合戦略の議論をやってきた。SDGsは目標、レジリエント・シティや創生総合戦略は課程や手法であると整理できた。軸足を日本や京都に置き、SDGsで視野を世界に向ける」

 ―環境課題への取り組みが、京都市のSDGsでしょうか。
 「家庭ゴミが2000年と比べて半減した。環境負荷が減るだけでなく、処理費用も削減できた。『歩いてこそ京都』を掲げ、四条通は歩道を拡幅し、3万カ所で派手な看板を外してもらった。自動車利用が減って環境に良い。歩くと健康に良く、医療費を抑制できる。景観を楽しめて地域社会にも良い。公共交通にもプラスで都市経営にも良い。周遊するので買い物にもつながる」

 ―環境だけ、福祉だけと個別に政策を打つよりも効果的ですね。経済、社会、環境の調和を追求するSDGsと同じです。
 「私は“共汗(きょうかん)”と融合と言ってきた。縦割り行政ではなく、ともに汗をかき、あらゆる政策を融合しようということだ。責任感の強い人ほど自分の仕事に注力し、他に干渉しなくなる。徹底して“共汗”をやらないといけない」

 「最後に一つ言いたい。日本には空き瓶に一輪の花を生ける家庭がある。江戸時代から庶民の識字率が高く、勤勉である。こうした生活文化が日本のすごさだ。SDGsの取り組みの根幹に文化があるべきだ。簡単に捨てるような商品は買わず、良いモノを大切に使い続けるような日本文化が、持続可能な社会に欠かせない」

                     

【記者の目/縦割り打破、効果的な取り組みを】
 「SDGsが縦割り行政を変える」と、自治体職員から聞くようになった。SDGsは経済・社会・環境の課題を同じテーブルで考える機会を与えてくれる。厳しい財政状況の自治体は行政を効率化できる。市長のイノベーションの指摘もうなずけた。現状の事業がSDGsだと宣言する企業が多い。SDGsを読んで新規事業を始めるのは難しいが、既存事業からイノベーションの余地を見つけ出すのなら、ハードルは低そうだ。既存事業とSDGsとの単なる点検から脱却すると、企業も行政も効果的なSDGsの取り組みができる。(文=編集委員・松木喬)

日刊工業新聞2019年6月14日

松木 喬

松木 喬
06月21日
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日刊工業新聞14日付の「SDGs面」から1本。着物の背中側にSDGsの17色のロゴが縫い付けてあって「さすが」と思いました。間伐材でつくったSDGsバッジ、祇園祭とSDGsの融合など話題は盛りだくさんでしたが、すべて掲載できずに残念でした。27日の京大超SDGsシンポでも市長が登壇されるので注目です。

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