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JR貨物が構想する「スマート貨物駅」とは?

無人運転トラック、入れ替え用機関車の遠隔操縦など、新技術導入
JR貨物が構想する「スマート貨物駅」とは?

貨物駅の構内作業は労働集約型といわれている(イメージ)

JR貨物は、2022年度の移転開業を予定する新・仙台貨物ターミナル駅(仙台市宮城野区)で、最新のICT(情報通信技術)を活用した次世代貨物駅「スマートターミナル」の実現を目指す。構内作業を省人化するため、無人運転トラックや入れ替え用機関車の遠隔操縦など新技術の導入を検討。生産性を高めて駅機能を高度化するとともに、駅構内の物流施設と鉄道貨物を連携させて、付加価値の高い物流サービスの提供も見据える。

 JR貨物は社内に検討チームを立ち上げ、スマートターミナルを実現する技術課題の洗い出しに着手した。貨物駅構内は労働集約型の作業が多い。将来の労働力不足に備えて、自動化技術を積極的に取り込み、安全性や生産性の向上にもつなげる。建設する新駅を、最新技術実装のターゲットに据え、計画を具体化していく方針だ。

 導入する技術候補の一つである構内トラックの無人運転化は、ホームと倉庫間のコンテナ移送作業を自動化するのが狙い。今後、安全走行のための各種課題解決に取り組む。構内は外部から閉鎖されており、走行環境や通信環境も整えられることから、無人運転を実現するハードルは比較的低いとみられる。

 駅にコンテナを持ち込むトラックに対し、電子料金収受システム(ETC)技術を使った「スマートゲート」の設置も構想。運転手が下車せずに車両認証を済ませられるとともに、コンテナの過積載やバランスをチェックして、列車運行の安全性向上につなげる。

 仙台貨物ターミナルは、現駅跡地を活用した宮城県の広域防災拠点整備計画に伴い、移転が決まった。事業面積は22・6ヘクタール。E&S(着発線荷役)方式を採用し、3面のコンテナホームを有する。

 19年度に移転準備を本格化し、20年度にも駅本体に着工する見通し。複数企業が入居するマルチテナント型物流施設「レールゲート」の開発も計画している。
日刊工業新聞2019年6月19日(商社・流通・サービス)

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