「新MRJ」「737MAX」「哨戒機」…。パリ航空ショーでの商談成果

 【パリ=長塚崇寛】三菱航空機は開発を本格化した国産小型ジェット旅客機「スペースジェットM100」15機の売買に向けた協議を北米の顧客と始めた。受注に向けた交渉を詰めるため、両者はMOU(覚書)を締結。2024年からの納入を予定する。

 三菱航空機が本格商談をするのは、16年にスウェーデンの航空機リース会社ロックトンと20機の購入で基本合意して以来となる。

 M100は座席数70席級の新機種となり、フランスで開催中のパリ国際航空ショー(パリエアショー)で23年の市場投入を表明したばかり。100席未満のリージョナルジェット機では群を抜く客席の広さや、燃費性能など経済性で高い評価を得たもようだ。

 三菱航空機が開発する「三菱スペースジェット」は、90席級の「スペースジェットM90」が20年半ばの初号機納入を計画している。一回り小さなM100はこれに続くモデルとなり、当面は2機種体制で顧客を開拓する。

 一方、米ボーイングは英ブリティッシュ・エアウェイズなどを傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループから、最新鋭小型機「737MAX」を200機受注した。受注額は240億ドル以上(約2兆6000億円)とみられる。2023―27年に引き渡す予定だ。

 3月にエチオピアで起きた墜落事故を受けて、各国の航空当局が運航停止を命じて以来、初めての受注となる。主力小型機である737MAXの運航停止は経営へのインパクトが大きく、運航再開を模索している中での大型受注となった。ボーイングは18年10月以降の2件の墜落事故で誤作動が発生した失速防止ソフトの改修を終えているものの、運航再開の見通しは立っていない。

 また防衛省は固定翼哨戒機「P1」と輸送機「C2」を出展している。両機を海外展示会で同時に披露するのは今回が初めて。国産航空機の高い技術力をアピールして諸外国への技術協力を促進するとともに、防衛装備品の輸出につなげる。

 防衛装備庁の後藤雅人プロジェクト管理総括官(航空担当)は「各国の安全保障に資する適切な装備品の移転で国際的な平和に貢献したい」と出展の意義を話した。防衛装備品の輸出は潜水艦「そうりゅう」の失注をはじめ、苦難が続く。展示会に実機を持ち込むことで高い技術力の裏付けを肌で感じてもらい“商談”の質を高めたい思惑もある。

 P1、C2とも川崎重工業が製造を担当。本年度からの新たな中期防衛力整備計画(中期防)では、5年間でP1を12機、C2を5機導入する計画だ。これに加えて輸出に結びつけられれば、製造会社やサプライヤーの恩恵は大きい。日本の防衛産業を維持・拡大するためにも、輸出による生産規模の積み増しに期待がかかる。
                    

日刊工業新聞2019年6月20日の記事に加筆

  

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