タイヤが2年ぶりの値上げ、理由が原材料費高騰でないのはどうして?

ブリヂストンなど3%、物流費が圧迫

 国内タイヤメーカーが市販用タイヤの出荷価格を相次いで値上げする。2017年以来2年ぶり。これまでの原材料価格の上昇による要因とは異なり、物流コストの増加が引き金になっている。各社は自社のコスト削減だけでは賄えず、値上げに踏み切らざるを得ない厳しい状況にある。

 「かつて物流コストの増加で値上げしたことはない」―。各社の受け止めは共通している。タイヤを運び保管する物流の現場では、トラックの運転手など人手不足が続き、人件費が上昇する。慢性的なコスト増の状況は続いてきたが、ここ数年は特に値上げ要請が強まっている。

 11年や17年など複数回にわたる近年の値上げは原材料価格の高騰によるもので、主原料である天然ゴムや合成ゴムの原料である石油化学系原材料の価格上昇が要因だった。だが19年上期でみれば、前年に比べて天然ゴムは安く、合成ゴムは現状価格を維持または一部上昇する程度。カーボンブラックは値上がりしたが、各社はコスト抑制に取り組んで上昇分を吸収してきた。だが人件費など物流コストまでは賄えない。

 値上げの先陣を切ったのは最大手のブリヂストン。乗用車やトラック・バス、建機など農業や航空機を除くほぼすべてのラインアップで8月1日から平均3%値上げする。ブリヂストンは「企業努力のみで吸収するのは困難。今後もこの傾向が続く見通し」として値上げに踏み切った。

 横浜ゴムも同様に物流費や販売管理費など物流コストが増加していることを受け、8月1日に国内市販用タイヤの出荷価格を平均3%値上げする。トーヨータイヤも値上げを検討しており今週中にも値上げを公表する見通し。住友ゴム工業は物流コストの増加の影響を精査し、今後の値上げの有無を検討する。

 日本法人を置く海外大手タイヤメーカーも国内情勢を注視する。日本ミシュランタイヤ(東京都新宿区)や日本グッドイヤー(同港区)は値上げを未定とするが、国内の物流業者に輸送を委託している関係上、自社の企業努力で物流コストを吸収するには限界があり、厳しい状況に変わりない。産業界全体に広がる物流コストの増加基調はタイヤ業界も例外ではなく、構造的な人手不足が日本経済の先行きに影を落としている。

日刊工業新聞2019年6月19日(自動車・輸送機)

  

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