ブリヂストンの悲願、安定調達できるタイヤ用素材がついに…

一般的なゴムと樹脂を用いた高強度合成素材を開発

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HSRはゴム成分や樹脂成分の割合を変えることでさまざまな特徴を持つことができる
 ブリヂストンは、一般的なゴムと樹脂を用いたタイヤ向け合成素材を開発した。これらの成分を分子レベルで結合させる独自の触媒技術を活用した。タイヤの原材料である天然ゴムは天候などで生産量が左右されやすい。安定調達できる素材の開発は長年の経営テーマとなっており、大きく前進した。残る生産コストの課題などを解消し、2020年代の実用化を目指す。

 「非常に汎用的な材料の組み合わせで、これだけのすごい特性が出るとは想定していなかった」。ブリヂストンの会田昭二郎中央研究所フェローは興奮気味に語った。新素材「ハイ・ストレングス・ラバー(HSR)」は、独自の重合触媒技術「改良型Gd触媒」を用いて一般的なゴム成分のイソプレンと樹脂成分のエチレンをメーンに分子レベルで結合させて作り出した。

 タイヤ用ゴムは原材料の約6割が天然ゴムだ。天然ゴムは合成ゴムに比べて耐久性が高いが、天候などに生産量が影響されやすい。同社は天然ゴムの代替となる新素材の研究開発を進めてきた。ポイントはどのように天然ゴムと同水準の強度を確保するかだった。

 この課題を解決する第一歩が、16年に開発した独自のGd(ガドリニウム)触媒。Gd触媒を使いイソプレンの分子構造を高度に制御できるが、摂氏0度C以下でしか利用できないなどのハードルがあった。これに対し同社は触媒の構造を工夫した。工業的に一般的である40度C以上でも使用できるようにした。

 さらに今回、Gd触媒を使ってイソプレンとエチレンという異なる成分を一つの化合物として結びつけることに成功し、ゴムのようなしなやかさと樹脂の強靱(きょうじん)さを併せ持つHSRの開発にこぎつけた。

 このHSRは天然ゴムを上回る耐久性も持つことがわかった。天然ゴムとの比較試験ではHSRは引っ張り強度が天然ゴムに比べて1・5倍以上、耐摩耗性は同2・5倍以上、耐亀裂性は同5倍以上との結果も出た。

 天然ゴムの代替という利点だけでなく、より薄くて軽いタイヤの実現につながり、自動車の燃費性能向上にも役立つ可能性がある。

日刊工業新聞2018年6月5日

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今後、量産化に向けたパートナーとの連携などに取り組む意向だ。 (日刊工業新聞社・山岸渉)

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