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指静脈・顔認証で100万人の判別を可能に

日立、今年度実用化
指静脈・顔認証で100万人の判別を可能に

タブレット端末のカメラを活用し、指静脈と顔を読み取り、本人認証する

 日立製作所は指静脈認証技術の活用を広げる。タブレット端末のカメラで指静脈と顔を読み取り、本人認証するソフトウエアを早ければ2019年度中に実用化する。IDやカードと生体情報を組み合わせて判定する「一対一認証」に置き換わる方式として期待する。電子商取引(EC)やインターネットバンキングでの利用を見込む。3―5年後には汎用カメラでも1000―1万人規模の判定が可能な状態を目指す。

 日立の指静脈認証は、外光の影響を低減しながら近赤外線発光ダイオード(LED)を照射。見やすくなった静脈をカメラで認識する専用端末を活用することで100万人の判別を可能にする精度を誇っている。

 汎用カメラを利用する場合は、専用端末に比べると精度は10分の1以下に落ちるものの、指4本の静脈と顔という二つの認証技術で絞り込むことにより一定の認証制度を確保できる。認証時間も数秒で済む。

 タブレット端末のカメラを利用するため米アップルの「iOS」や米グーグルの「アンドロイド」、米マイクロソフトの「ウィンドウズ」など基本ソフト(OS)を選ばず導入できる。インターネット通販で購入する際の認証や専用機器を設置できない店舗、カードや現金などを持ち運ぶのを敬遠される海の家やフィットネスクラブなどでの利用を想定する。

 日立は生体情報から鍵と鍵穴を作成する公開型生体認証基盤(PBI)技術を強みとする。PBIは生体情報から暗号化して鍵穴となる「公開鍵」と鍵となる「秘密鍵」を作成。保存された「公開鍵」に毎回作成する「秘密鍵」を照合することで本人確認する。機微情報に当たる生体情報を直接利用しないためリスクを最小限に抑えられる。

 指静脈認証はキャッシュレス決済だけでなく、経費管理や勤怠管理をはじめ各種システムへのログオンなど、本人確認が必要な場面に幅広く活用できる。日立は今後もグループやパートナーと連携し、さまざまな指静脈に関するソリューションを展開する方針だ。

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