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パン用真空冷却機で素材の味をそのままに!

冷却時間・使用面積10分の1
 【奈良】品川工業所(奈良県田原本町、庄野明社長、0744・32・4055)は、パン用の真空冷却機を開発した。7月9日に発売する。現在、国内ではほぼ全てのパン工場が送風冷却方式を採用する。開発品は送風に比べ冷却時間、使用面積ともに約10分の1に削減できる。同社は真空冷却機で国内シェア約20%(同社推定)を握る2位。総菜向け中心だった製品展開の幅を広げ、2029年までに同50%を目指す。

 コンビニベンダーやスーパーのセントラル工場の総菜向けに販売していた真空冷却機をベースにパン用真空冷却機を開発した。袋詰め前に使用し、冷却でパンの食感維持につながる。価格は未定だが、トレー数枚を冷却する冷蔵庫サイズから数メートル四方の大型サイズまでを受注生産する計画。

 パン用は冷却槽自体を真空引きするのではなく同一筐(きょう)体内に設置した真空チャンバーを真空ポンプで引く新設計。冷却槽内でパンを冷却している間にチャンバーを真空にし次のパンを冷却槽内に入れてバルブ開放、一気に槽内を真空にする。100度Cのパンを25―35度Cの常温にする冷却時間は約3分。

 真空冷却は気圧を下げると低温沸騰する水分の性質を利用し、気化熱で短時間冷却する手法。コンベヤー上で送風して冷却するより設備の設置面積が小さく、菌繁殖も抑制できるため海外では導入事例も多いという。

 品川工業所は総菜向けで、品温と真空度を自動補正して吹きこぼれを瞬時に抑制する技術を持ち、パン用にも応用した。カレーパンやジャムパンなど内部に液体が入るフィリングパンにも幅広く対応できる真空冷却機として新規開拓を進める。
送風式に比べ使用面積も10分の1に削減できる真空冷却機

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