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MRJは「三菱スペースジェット」に!ブランド維持に込めた三菱重工の狙い

17日のパリ航空ショーで発表、ブランド戦略を巻き直し
 三菱重工業は、開発中の小型ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の名称を「三菱スペースジェット」に改称する方針を固めた。名称変更で再び「三菱」ブランドを使うには三菱グループとの調整が必要とみられ、手続き完了までは「スペースジェット」の名称を利用する可能性もある。グループの承認が下り次第、正式名称を三菱スペースジェットに改める意向だ。

 MRJ開発の実務を担う三菱航空機(愛知県豊山町)は、2013年に90席モデル(座席数88席)の初号機をANAホールディングス(HD)に納入する計画だったが、5回の納入延期を経て20年半ばの納入を目指している。度重なる納入遅れという負のイメージを払拭(ふっしょく)するため、名称変更でブランド戦略を抜本的に改革する。

 一方、「三菱」ブランドは世界的に広く知られ、新名称にも三菱を付して名称変更との相乗効果を創出。受注機会の最大化につなげる。名称変更で三菱の冠を掲げるには、三菱グループを中心に社内外での調整が必要な模様。一連の手続きが完了した段階で、三菱を付した正式名称を使用する方針だ。

 三菱重工と三菱航空機は17日(現地時間)にフランスで開かれるパリ国際航空ショーで、名称変更を発表する方向で検討に入った。

 MRJをめぐっては、19年中にも最大市場の北米で需要が見込める70席モデル(座席数76席)の開発を本格化するほか、三菱重工がカナダ・ボンバルディアと小型機事業の買収で交渉に入った。機種の拡充や機体のメンテナンス体制の整備など、初号機納入後を見据えた事業基盤の構築を加速しており、名称変更もこの一環となる。
日刊工業新聞2019年6月11日( 自動車・輸送機)

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