ビル管理の効率化、不動産大手がIoT向け通信「LPWA」で挑む

東京建物が東京の八重洲・日本橋・京橋地区で運用

 東京建物は東京の八重洲・日本橋・京橋地区で、無線通信「ZETA」を使ったオフィスビルの管理・運用に乗り出す。2019年内に既存ビル2棟にセンサーを設け、共用部の温度・湿度や混雑状況のデータを伝送・蓄積する仕組みを構築。通信環境を整え、設備機器の点検など目視による作業も代替する。働きやすいオフィスの追求とともに、人手不足が深刻なビルの管理業務を効率化する。

 東京建物はまず、共用部の暑さ・寒さ対策の要望があったビルに温度・湿度センサーを導入する。

 共用部には空調機能がある専有部の冷気や暖気を送るのが一般的だが、データを可視化・分析した上で換気機能の見直しなどの対策を練る。また別のビルでは、トイレの混雑状況を見える化したいというニーズに対応。人感センサーなどを使い、移動や待ち時間に感じるストレスや無駄を軽減する。

 その上で、高所や地下で稼働する設備機器の状態把握にも活用。管理スタッフによる定期的な巡回点検を遠隔監視に切り替えたり、高所など危険を伴う作業を減らしたりする効果を引き出す。

 オフィスビルの管理業務ではスタッフ確保のために賃金を増額する企業が多く、結果として利益を圧迫している例が目立つという。東京建物は業務の効率化とあわせて、長く働ける環境づくりを進める。

 中長期では、中央監視システムが受変電設備や空調設備などとやりとりする信号や指示が、現在は主流の有線経由からZETAに切り替わることも想定。これに備え、オフィスビルの開発段階から十分に対応できる通信基盤を整備することも検討する。

 従来の有線に比べて、ビル全体に各種設備機器を制御・管理するシステムの構築コストを大幅に低減できると見ている。

 ZETAは省電力の広域無線ネットワーク規格(LPWA)の一つで、安価な中継器で通信エリアを拡大できる強みを持つ。東京建物は本社ビルに各種センサーと中継器を設置し、約230メートル離れた同社八重洲ビル屋上の基地局にデータを送る実証実験を行った。この結果、伝送率は18年12月―19年3月の全期間で100%を達成。データもすべて、クラウド上のサーバーに蓄積できたという。

                

日刊工業新聞2019年6月7日

  

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