射出成形機の受注、3カ月ぶり1000台超に回復。米中「心配していない」

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日本製鋼所の新型中型電動射出成形機
 日本産業機械工業会(産機工)と日本プラスチック機械工業会がまとめた4月の射出成形機の受注台数は、前年同月比36.2%減の1043台と、8カ月連続で前年を下回った。減少幅は2月の同39.2%減、3月の同44.4%減と比べ縮小。安定受注の目安となる1000台も3カ月ぶりに上回った。ただ米中貿易摩擦の影響による不透明感を懸念する声も多く、不安定な受注環境が続きそうだ。

 仕向け地別では全体の約6割を占める海外向けが同44・3%減の661台と、12カ月連続で減少した。ただ2月の599台(前年同月比46・4%減)、3月の610台(同47・5%減)と比べわずかながら増加傾向を示した。国内向けは同14・9%減の382台と、6カ月連続でマイナスだった。2月は331台(同19・7%減)、3月は274台(同36・1%減)と、不安定な状況が続く。

 「4月は1000台を超えたが、引き続き不透明感がある」。日本製鋼所の松尾敏夫取締役常務執行役員は足元の受注環境をこう指摘する。海外と国内向けで回復時期に違いはあるが、海外向けは「早晩底を打って回復に向かうのではないか」と予測する。

 日精樹脂工業は4月の受注台数が3月と比べ持ち直した。依田穂積社長は中国関連が想定より動きだしているとし、「3月が底になるとみている。ただ、肌感覚としては受注環境の厳しさに変わりはない」との認識を示した。

 また今後について日精樹脂工業は、中国と米国で受注の復調を予測。中国ではスマートフォンなどIT関連産業向けが若干弱含みだが、「自動車、医療・容器関連産業向けは落ちておらず心配していない。米国は関税の問題が決まれば動きだす」と予想する。

 互い関税を引き上げるなど5月以降の米中対立の激化について成形機メーカー幹部は予測は難しいとしつつ、「自動車の販売や生産に影響が出れば一時的に需要は下がる。しかしその後、地産地消を進める動きが予想され、必ず回復していく」との認識を示した。

日刊工業新聞2019年6月4日



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日精樹脂が米中で増強


 日精樹脂工業は2022年3月期までの3カ年の中期経営計画をまとめた。3年間の設備投資額は前中計とほぼ同水準の計約60億円を見込む。中国と米国を中心に射出成形機の生産能力を増強。各工場で内製を強化するほか、グローバル調達などによりコストダウンも推進する。グローバルで供給体制を整備し、22年3月期に売上高は19年3月期比13・5%増の500億円、営業利益は同14・0%増の40億円を目指す。

 中国江蘇省の太倉工場に3棟の工場棟を新設して11棟に増設する(イメージ)。投資額は約3億8000万円。増築規模は1050平方メートル。9月中旬の完成を予定する。順次生産設備を導入し、射出成形機の生産能力を現状比約4割増の月130台に高める。立型射出成形機の生産にも乗り出す。

 米国ではテキサス州の工場で射出成形機の生産能力を同約5割増の年100台に拡大。大型射出成形機の拡販に注力する。日本とタイを含めた世界4極で生産、調達、品質保証体制などを強化し、グローバルで競争力を引き上げる。

 同社は16年3月期ころに10年後の事業構想を策定。当時1%だった射出成形機の世界シェアを「26年3月期に倍増するために動いている」(依田穂積社長)とし、新中計をその一環に位置付ける。
中国工場の新棟(完成イメージ)

日刊工業新聞2019年5月31日

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